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スペイン、パラドールは「観光の重要なツール」-活用方法を紹介

  • 2013年10月7日

フアン・カルロス・サンチェス・ガルベス氏 スペイン大使館はこのほど、日本スペイン交流400周年とスペイン首相の来日にあたり、宿泊施設や行政関係者など向けに「世界遺産の観光的運営に関するスペイン・パラドールのモデルケースについて」と題するセミナーを開催した。

 セミナーではパラドールを運営するパラドーレス・デ・トゥリスモ・デ・エスパーニャでプロダクト・マネージャー、コンサルティング・サービスを務めるフアン・カルロス・サンチェス・ガルベス氏が、パラドールのモデルケースから歴史資源の保存、再生、運営、地域の活性化について説明。パラドールとは、古城や貴族・領主の館、修道院を高級ホテルとして整備したスペイン国営のホテルチェーン。歴史的建造物に宿泊して質の高い食事が楽しめるなどの魅力があり、現在、スペインの1県を除く 全ての県に95軒ある。

 ガルベス氏によると、パラドールは国営の機関として、民間企業がリスクの大きさから投資できない場所を優先的に開発。「スペイン政府の観光政策の重要なツールとなっている」という。

 同氏は「パラドールは1つ1つ特徴を持っている」とし、特徴に合わせた保存や活用の方法を紹介した。例えば、ロルカ市は2011年5月地震に見舞われて大きな被害を受けたが、壊れた建造物を修復し2012年パラドール・デ・ロルカを開業。 震災からの復興の一助となり、現在も地域の活性化に大きく貢献しているという。

ラファエル・コロマ氏 また、スペイン大使館経済商務部所長のラファエル・コロマ氏は、スペイン世界遺産指定都市機構について言及した。同機構は歴史や文化遺産の保護する目的に設立されたもので、13のスペインの都市が加盟し、各都の持つ観光に対する課題を解決するため活動している。コロマ氏は、「現在は都市が作られたローマ時代とは(保存の)方法が全く違う」と時代の変化に対応した保全、メンテナンスの重要性を述べた。

 このほか、コロマ氏は世界遺産指定都市の運営について、世界の大企業が進出し、IT企業の誘致などで活性化に成功したマラガ市の成功例を発表。マラガ市は世界から多くの企業を誘致することにより、地域の雇用機会や観光産業の活性化にも成功したとし「日本の古い観光都市にも応用できる」と自信を示した。