日仏、観光協力で共同声明-地方誘客強化、共同プロモも

  • 2013年6月9日

 観光庁、日本政府観光局(JNTO)、フランス観光開発機構(ATF)は6月7日、日仏間観光協力に関する共同声明に調印した。共同声明では、日仏両国の双方向で観光客の往来の増加をはかるため、観光分野で協力し、訪問先の多様化や若者の旅行需要喚起、質の高い観光業の促進などに取り組んでいくとしている。

 観光庁長官の井手憲文氏は調印式で「日本とフランスは観光分野において新しい時代に入ってくる」とし、「両国間の観光交流がますます増え、2国間の友情が強化されることに共同声明が貢献してくれれば」と期待を示した。ATF観光開発機構理事長のフランソワ・ユヴァール氏も、共同声明で「日仏間のみならず、世界中で(日仏の)評価を高めていくことにも役にたつのでは」と語った。

 JNTO理事長の松山良一氏によると、東京以外、パリ以外への訪問先の多様化は調印の主な目的の一つ。インバウンドでは東京から京都のゴールデンルートがメインだが、地方への誘客を強化していきたいとした。ミシュランのガイドブックで3ツ星認定を受けた熊野古道や高野山、金沢、高山などを中心に、魅力をアピールしていく考えだ。

 また、ATFゼネラルマネージャーのクリスチアン・マンテイ氏も、パリ以外の地方への観光促進に注力していく姿勢を示した。同氏は、パリから地方へはTGVや飛行機など交通ネットワークが発達しているため、移動しやすいと説明。ワインをテーマにした観光地巡りや、世界遺産のモン・サン・ミッシェル、ミディピレネー地方、ブルゴーニュなど日本人向けの見どころもあるとし、「パリ以外のフランスについて、力を入れてプロモーションをしている。日本にアピールできることは沢山ある」と訪問先の多様化に意欲を示した。同氏によると、2012年の日本人訪問者数は前年比5%増で推移しており、今年も1月から3月についてもプラスの数字を残しているという。

 今後は双方向の観光促進をはかり、今秋に共通のビジュアルを用いたキャンペーンを両国で実施する計画だ。「互いの魅力を発見しよう」というコンセプトのもと、パリのメトロと東京の首都圏交通網で交通広告を展開していく。また、日仏メディア向けの共同プレスリリースやeメールニュースレターなども配信していく。

 さらに、観光協力と観光交流促進について協議するため、毎年1回会合を実施。ATF在日代表のフレデリック・メイエール氏によると、下期に実施する予定で、今まで実施したことの報告と、下期以降の予定を話し合うという。

 このほか、観光サービスやインフラに係る評価と開発、観光地の集客力と観光関連企業の競争力の向上、観光動向調査や分析といった分野でも協力を進めていくとした。