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トップインタビュー:ハワイ州観光局(HTJ)代表 高畑エリック氏

旅行業界が一体感を持てたのが12年の最大の成果
13年はファーストタイマー、MICE、隣島強化でさらなる上積みめざす


 2012年1月から体制を一新したハワイ州観光局(HTJ)。消費者寄りの活動方針を掲げる観光局も多いなか、HTJは新たに旅行業界との協力関係の強化を掲げ、ハワイ需要の活性化に取り組んできた。新体制での1年間の成果と、13年の展望や活動方針についてHTJ高畑エリック代表に聞いた。(聞き手:弊誌編集長 松本裕一)


-12年1月に就任されて以降の1年間を振り返ってください

高畑エリック氏(以下敬称略) 2012年は、東日本大震災の翌年に日本からの旅行需要をどうリカバーするかが問われた1年だった。12年の日本人ハワイ訪問者数は第3四半期までの実績では前年比15.9%増を記録している。最終的に年間140万人程度が見込まれており、そうなれば11年の124万1805人に対して13%ほどの伸びとなる。平均滞在日数についても12年第3四半期までの平均で6.07日、0.3%アップしており、消費者支出も21.7%増えている。

 好調の要因は東日本大震災後に控えられていた海外旅行需要が12年にスライドしたことや歴史的な円高、新規路線の就航などいくつかあるが、私が感じたのは旅行業界に力強さが戻ったこと。旅行会社、航空会社、ホテル、リテールなど旅行業界全体のパワーがカムバックし、旅行需要を引き出し、上向かせていったのだと思う。


-需要が順調に伸びるなかで、観光局としての成果と課題についてはどう考えますか

高畑 成果として挙げたいのは、旅行業界の力を結集するために努力し、それが一定の成功を収めたこと。旅行会社、航空会社、ホテル、リテールなど旅行業界におけるわれわれのパートナーを一つにし、同じ目的に向かって力を合わせられるようにする。業界がともに力を合わせる雰囲気を作る。それが何よりも重要だと考えてきたので、実現できたことが大きなポイントだったと思う。

 一方で課題については、やはりオアフ島への過度の集中にどう対処していくかだと考えている。HTJはマーケティング方針としてファーストタイマー、MICE、隣島を強化の3本柱に挙げているが、MICEを強化するためにはオアフの受け入れキャパシティの問題を解決しなければならない。そこでキーポイントとなるのが、3本柱のひとつでもある隣島の強化だ。

 ワイキキのホテルのキャパシティについては、既存ホテルの改修・増築程度はあっても、新規ホテルは法的規制もあって期待できない。しかしオアフ島のホテル稼働率は90%を超えていてこれ以上受け入れを増やすことはかなり難しい。他方、オアフ島以外のホテル稼働率は60%程度で、まだ受け入れを40%増やす余地がある。