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日本版LCCの可能性と課題、「空飛ぶ電車」の実現へ

  • 2011年10月24日

▽訪日市場拡大にはパートナーシップ構築を

JQグループCEOのブルース・ブキャナン氏

 もう一つ、パネリストが市場開発の課題として口を揃えたのは関係企業とのパートナーシップの確立。ブキャナン氏はパートナーとして空港会社や観光業者、規制当局、航空機メーカーを例示。井上氏も、「インバウンドのお客様を考えた時、安い運賃を提供してアジアから日本にお連れしても、その後は関与できない」とし、「航空事業、観光事業のバリューチェーン全体の中で議論をするようなムーブメントを巻き起こしていければと考えている」と語る。

 また、セントラルフロリダ大学ホスピタリティ経営学部副学部長の原忠之氏も、居住地を出発して飛行機に乗り、日本の空港でのCIQを経てホテルまでの交通機関で移動するといった一連の行為が、「観光客から見れば繋がっているが、サービス供給者の側からすると、私は空港だけ、私は飛行機だけと、どうしても統一された見解ができない」と指摘。オーランドなどの例を挙げつつ、「観光客から見れば、一連の流れの中でのプレーヤーに過ぎない」ことを認識して協力することが重要とした。

セントラルフロリダ大学ホスピタリティ経営学部副学部長の原忠之氏

 なお、旅行会社との関係について井上氏は、「空飛ぶ電車」(リンク)をめざしていくと、「旅行会社や関係するベンダーなどとの関係も変わってくる」と言及。井上氏はかつて本誌らの取材に対して、「(流通の)コストが増えるとビジネスモデルが死んでしまう」ことから、販売は主に自社ウェブサイト経由とする予定を示しており、低運賃を実現できる関係が成り立てば柔軟に対応するとしているものの、積極的な様子は伺えない。

 これに対して、ジェットスター・ジャパンは国内線の販売も旅行会社に期待する方針をいち早く打ち出しており(リンク)、この差異も一つの差別化と捉えられるだろう。