ハワイ体験レポート:西オアフ、コオリナの最新事情

  • 2011年2月17日
西オアフの一大リゾート、コオリナ最新事情
〜ディズニーリゾートのオープンで新たな動き続々!〜


 今年のハワイにおける大きな話題のひとつが、8月にデビューを控えたディズニーがハワイで手がける初のリゾート「アウラニ・ディズニー・リゾート&スパ・コオリナ・ハワイ」(アウラニ・ディズニー・リゾート)である。ホテルが建つのは、西オアフに広がるコオリナ地区。そして、新リゾート誕生に触発されるように、コオリナにはさまざまな動きが起きている。「隣島の趣をもつオアフ島のリゾート」として認知度を高めてきたこのエリアは、どんな変化を遂げているのか。開発の進む現地の様子をレポートする。
                          
                         
セレブが愛する隠れ家コオリナ

 ホノルル国際空港から車で35分、ホノルル市街から約45分、オアフ島西岸に位置するコオリナ・リゾート&マリーナは、1980年代後半から徐々に開発が進められてきたリゾートエリアである。建物同士がひしめきあって建つこともなく、ゆったりした印象だ。ホテルやタイムシェアの各部屋からは青い海が見渡せ、自然豊かなネイバーアイランドの趣を愛する人々にうってつけのリゾート地区となっており、街の喧噪から離れていることから、各国のセレブが訪れることでも知られている。晴天率の高さもこのエリアの魅力だろう。

 4つの人工ラグーン沿いには現在、「JWマリオット・イヒラニ・リゾート&スパ」(JWマリオット・イヒラニ)、タイムシェアの「マリオット・コオリナ・ビーチ・クラブ」(マリオット・コオリナ)、コンドミニアムの「ビーチヴィラ・アット・コオリナ」、さらにはワタベウェディングが運営するチャペルなどが建ち並ぶほか、南の端には「コオリナ・マリーナ」があり、少し内陸に入れば、今や名門となった「コオリナ・ゴルフクラブ」がある。

 この地の開発がここに来て勢いづいてきた。マリオット・コオリナが運営を開始したのが2009年。翌2010年11月1日にはワタベウェディングが、ウェディング施設「ホヌカイラニ・コオリナ・プレイス・オブ・ウェリナ」(ホヌカイラニ・コオリナ)を完成させた。


ワタベのコオリナ3軒目のチャペルが誕生

 コオリナは、海外ウェディングをリードしてきたワタベウェディングにとっても特別な場所だ。ホヌカイラニ・コオリナは、同社にとって、1999年オープンの「コオリナ・チャペル・プレイス・オブ・ジョイ」、2001年オープンの「アクアベール・フレ・マリーナ・コオリナ・ル・プラージュ」(いずれもリニューアル済み)に続くコオリナ3軒目のプロパティである。

 「すべてにプレミアムなウェディングリゾート」を謳うこの施設では、ゲストを迎えるグリーティングコテージ、チャペル、レセプションコテージいずれもワンランク上の上質感を漂わせる。ウェイティングルームには木製のレリーフが飾られ、色調を抑えた落ち着いた内装。レセプションコテージには、長テーブル、丸テーブルそれぞれに合わせた3つの種類のパーティ会場が用意されているが、うち1室にはガーデン、ほかの2室にはラナイが付き、いずれも青い海を望むことができる。特筆すべきは料理だ。ハワイ・リージョナル・キュイジーヌの第一人者であるアラン・ウォン氏がプロデュースする限定料理が提供される。

 青い空に向かって鋭い三角形が伸びるチャペルの外観は、チャペルの名前の一部にもなっているホヌ(ウミガメ)が海に向かう様子を模したというユニークなもの。チャペル内部も落ち着いた雰囲気で、あえて白を基調とせずに座席や天井には濃い木目を配し、造花でなく生花を飾るなど全体的に自然素材を多用。自然との一体感を重視したものとなっている。10メートルのバージンロードの先にある祭壇越しに広がるのは、インフィニティプールが青い海へとつながる美しい景観だ。ビデオは別室で操作しての撮影となり、カメラマンが挙式場に入ることはない。

 ワタベウェディングによれば、「予約は好調」。同施設のマネージャーのドナルド雨宮氏は、「ディズニーのリゾートの誕生などで、コオリナ地区への注目が高まっている。その大きな波に乗れたのではないか」と話す。




隠れミッキーを探せ?!アウラニ・ディズニー・リゾート

 そして、今年一番の目玉が、ラグーン沿いのJWマリオット・イヒラニの並びに建設が進むアウラニ・ディズニー・リゾートの開業だ。ディズニーが手がけるプロパティとしてはハワイ初リゾート。また、世界的にもテーマパークを伴わない初めての宿泊施設であり、国内外から大きな関心を集めている。

 ラグーンに面した約8万5000平方メートルの敷地に、ホテル棟(359室)、タイムシェアのキッチン付きバケーションクラブ(481室)を擁する一大リゾートで、敷地内には、通常のプールのほか、魚と一緒に泳げる海水ラグーン、そして全長270メートルのウォータースライダーなどがお目見えする予定。世界各地に点在する他のディズニー物件と異なるのは、ミッキーマウスなどのキャラクターを全面に押し出していないことだろう。「ミッキーマウスより『本当のハワイ』」がコンセプトで、ハワイの伝統建築を取り入れたロビーをはじめ、リゾート全体に古き良きハワイの趣が漂う造りになる予定だ。

 一方で、ディズニーファンの期待を裏切らない仕掛けも、もちろん随所に見られる。客室に備えられるアンティーク調のサイドランプには、サーフボードを背にウクレレを奏でる小さなミッキーマウス。よく見れば、客室のベッドカバーのキルティングの模様にもミッキーマウスが隠れている。さらに館内の「マカヒキ・レストラン」では、ディズニーリゾート定番のお楽しみ、ミッキーマウスをはじめとするキャラクターたちとの写真撮影が可能だ。

 オープンは8月29日。同ホテルのマネージング・ディレクターのエリオット・ミルズ氏は、「コオリナ地区は美しい自然やビーチがある素晴らしいエリアだが、まだこの地名を知らない日本人も多いと思う。当リゾートのオープンをきっかけに、同地の認知度が高まり、エリアが発展することを期待している」と語る。


JWマリオットはMICE需要にも期待

 コオリナ・リゾート第1号ホテルとして1993年に開業した、JWマリオット・イヒラニ(開業当時は日本航空(JL)のホテル運営会社が運営する「イヒラニ・リゾート&スパ」)では、現在、大規模な修繕計画が進行中で、その後期段階として客室改装が行なわれている。全館クローズをすることなく、順次実施されてきた全387室の改装は2011年の第1四半期には完了し、内装は海と砂浜の色を基調としたモダンなものとなる予定だ。世界的に有名なホテル内のスパ「イヒラニ・スパ」はすでに改装を終えており、カップルで利用できるトリートメントルームと24時間営業のフィットネス・センターを設けたほか、婚礼や小規模グループの保養旅行などを対象にした「ホオナネア・プライベート・スイート」も新登場した。

 同ホテルを運営するマリオット・インターナショナルでは、周辺で相次ぐ新施設のオープンをポジティブにとらえている。マリオット・リゾーツ・ハワイ統括営業・マーケティング本部長アジア担当のパティ・ハーマン氏によれば、「ワタベウェディングの新施設建設をきっかけに、複数の旅行会社が1泊または2泊の宿泊パッケージをウェディングカップル向けに作ったことが、同ホテルの日本市場拡大の要因のひとつとなっている」と分析する。

 一方、アウラニ・ディズニー・リゾートの開業を機に、同社が注目しているのはMICE市場だ。2010年1月、JWマリオット・イヒラニ内に「ホクラニ・ボールルーム」が完成したことで最大300室から350室分の需要が見込めるようになり、団体客の問い合わせも増えているが、現在、団体用に提供可能な部屋は約半分の150室。「アウラニのオープンによって団体客の受け皿が増えることで、失っていた販売チャンスを得られ、当社にとってもよい傾向」と期待を寄せる。

 大型施設の建設に伴い、周囲には店舗も充実しつつある。しばらく目が離せないエリアになることは間違いない。


取材協力:ハワイ州観光局(HTJ)、日本航空インターナショナル
取材:佐藤淳子