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JTB、中間期は6年ぶりの純損失−インフルで取扱額600億円減

  • 2009年11月30日
 ジェイティービー(JTB)の2010年3月期中間連結業績(2009年4月1日〜9月30日)は、売上高が前年比15.3%減の5781億6600万円、営業損失が53億2500万円、経常損失が39億4800万円、当期純損失が55億円となり、SARSが発生した2003年度上期以来6年ぶりとなる純損失を計上した。不景気や個人消費の減少に加えて新型インフルエンザによりキャンセルなどが発生し、海外旅行を中心に落ち込んだ。新型インフルエンザによる取扱額の影響は、一般団体で約180億円、教育旅行で約60億円、ビジネストラベルを含む個人旅行で約360億円となった。

 また、年金費用で約16億円、システムの先行投資などで8億円、新事業への投資額などで15億円と約39億円の経費を計上。一方、グループ全社でコスト削減に取組み約41億円を削減したほか、今期は急な円高などがなかったことから、為替差損益が20億円程度改善している。

 旅行事業の売上高は、974億4400万円減の5167億3100万円で、このうち海外旅行の売上高は650億8800万円減の2078億4200万円となり、旅行事業の売上減のうち6割以上を海外旅行が占めた。特に一般団体や教育旅行、ビジネストラベルの取扱人員、売上高ともに大幅に落ち込んだ。なお、国内旅行は304億1300万円減の2876億1600万円、国際旅行は16億4300万円減の212億7300万円となった。

 なお、海外旅行の取扱人員のうち、ルックJTBは3.8%増となったが、グループ全体では10.5%減の158万9645人であった。


▽2010年3月期の連結業績予想は下方修正、純損失60億円に

 2010年3月期は、売上高が13.0%減の1兆1100億円、営業利益が95.0%減の6億円、経常損益は0億円、純損益は60億円の赤字と下方修正した。JTB常務取締役経営企画担当・事業創造担当・IT企画担当の志賀典人氏は会見で、「経常損益ベースでは黒字を確保したい」と述べ、下期の取組みとして間際商品を含めたラインナップの拡充や、地域活性化に向けたイベント、バンクーバー冬季オリンピックにあわせた需要喚起などを実施する。

 また、円高が続いていることに対し、業績に直接プラスに影響するかどうかは「微妙」と話す。「消費の落ち込みを喚起するため価格競争に陥ると、取扱人員は伸びるが単価は下がる。それでもかかるコストや作業は変わらない」ためで、「それでも人に動きがあるのはいい。期待したい」と話した。