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JATA、ツアー登山のガイドラインを策定−「安心安全が最優先」、説明会も

  • 2009年9月3日
 日本旅行業協会(JATA)は9月1日、「ツアー登山運行ガイドライン」を会員向けに発出した。7月に北海道大雪山系で発生した登山ツアー参加者の死亡事故を受け、JATA国内旅行委員会の下部組織である「ツアー登山部会」でガイドラインの策定を急いでいた。今回のガイドラインは、今年3月に解散した旅行業ツアー登山協議会が策定したものを基礎とし、引率者に求められる能力、適切な外部委託、取扱会社の管理体制、登山道や山小屋の適切な利用などについて注意点を追記した。ガイドラインは3ヶ月を周知期間として見込んでおり、12月1日から指針として位置づける。この期間に、東京、大阪、名古屋で説明会を開催するほか、全国旅行業協会(ANTA)会員向けにも周知のための機会を設ける計画だ。

 JATA国内・訪日旅行業務部長の興津泰則氏は、新ガイドラインについて、「ゆとりある行程を組むことを前提に安全対策を取りまとめた」と説明。その上で、「安心安全が最優先事項であるとの認識が重要。取り扱う旅行会社の責任は重く、過剰だと思うほどの案内も必要なのではないか」とし、「消費者から不満が出る場合もあるかもしれないが、やはり安心安全が最重要」と語った。

 追記された項目では、例えば引率者の能力について、「責任感、使命感、倫理観を充分にもち、引率者の役割を理解していること」「旅行業に関わる法令等を理解していること」などを列記。「悪天候や不明瞭な登山道等において危険回避の指導、助言ができること」など、7月の事故の一因となったとされる点についても言及した。また、外部委託の項目では、自社で適切な引率者を配備できない場合、その山域に在住するガイドを活用することが有意義と明記した。このほか、管理体制で、参加者の装具が不十分な場合に参加を謝絶することも考慮すべきとした。

 このほか、ガイドライン最終項では、万が一の事故後の対応として、「法的対応を考える前に、取扱会社および引率者としてまずやらなければならない行為がある。それは『努力義務』を果たすことではないだろうか」と指摘。その上で、「『ツアー登山造成』の認識から『登山』が欠落し、『ツアー造成』になっていないか。取扱会社および引率者と参加者相互において『危険の存在』をつよく認識することこそ山岳遭難事故を予防することになる」と注意を喚起している。

 なお、冒頭ではオフィスコンパスが旅行業を登録していなかった点を意識し、「本来旅行業法に反するものであるからその是正をつよく求めるものである」と強調した。


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