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旅のテーマ:世界のパワースポット(3)ストーンヘンジ(イギリス)

  • 2009年4月22日
巨石文明とパワースポットの関係

 ストーンヘンジはロンドンの西約200キロメートル、ウィルシャー州にある先史時代の巨石建造物。世界遺産にも登録されているこの有名な遺跡はイギリス一、いやヨーロッパ最大の「パワースポット」ともいわれている。荒涼とした大地の上で風に吹かれ、天を背負ってたたずむどっしりとした姿は、なるほど太古からの地球のパワーを秘めていそうだ。

 パワースポットは、先住民によって伝承されてきた「聖地」であることが多い。しかし、ストーンヘンジの場合、イギリス各地に巨石建造物を残した人々の伝説や記録がない。以前は紀元前後に造られたケルト民族のドルイド教の祭壇だと信じられていたが、研究が進んだ結果、遺跡はそれより3000年も古い新石器時代にさかのぼることが判明した。太陽崇拝のための祭祀場、古代の天文台、天体観測をもとにした暦であるなど諸説ある。さらに付近でUFOが目撃されたことから、宇宙人の基地だという奇説も飛び出した。金属の棒の動きにより、地下にあるものを探す「ダウジング」をすると、明らかな反応をすることも分かっている。謎多いストーンヘンジは人々の関心をひきつけ、さまざまな憶測を呼ぶこととなった。

 アマチュアの考古学者アルフレッド・ワトキンス氏は、イギリス南部にある遺跡や聖地が直線的に並んでいることを発見。この線「レイ・ライン」を提唱し、ストーンヘンジからは他の遺跡へつながる3本のレイ・ラインがあるとした。レイ・ラインは後に「エネルギーが流れる線」と解釈され、ストーンヘンジは特別なパワーをもつパワースポットと考えられるようになったのだ。そしてその言葉を裏付けるように、ここを訪れる多くの人々が、これまで感じたことのないような気分の高揚やリラックスした感覚を体験しているという。


太古の「癒し」の場?

 ストーンヘンジは4メートルから5メートルの高さのある石の柱の上に、梁のような石が置かれ、それが円を描くように並ぶ環状の構造物。石は大きいもので長さ7メートル、重さは50トンにもなる。最初にこの場所に土塁と堀が築かれたのは紀元前3000年と考えられ、その後1500年以上の歳月をかけて、この不思議なモニュメントが段階的に形作られた。使われている石には200キロ以上も離れた場所から運ばれたものもあり、おびただしい労力が費やされたと考えられる。

 2008年、イギリスのストーンヘンジの研究者であるティモシー・ダービル氏とジェフリー・ワインライト氏は、ストーンヘンジがヨーロッパ各地から人々が集まる「癒しの場」であったとする説を唱えた。その根拠は、遺跡付近からけが人や重病人であったとみられる人の骨が多く出土していたからだ。またストーンヘンジに使われている石のひとつに青みをおびたブルーストーンがあるが、当時の人々はこの石が特別の力を持つと考えていたと推測されていて、ストーンヘンジをフランスにある奇跡の泉「ルルド」のように、古代人が病の治癒を願って集まった癒しの場であったと考えたのだ。

 ストーンヘンジの近くにある町ソールズベリーに行くには、ロンドンから列車で約1時間30分。ソールズベリーからストーンヘンジまではバスがあり、30分ほどで行くことができる。ストーンヘンジの中央に立ち、その癒しのエネルギーを感じ取ってみたいところだが、残念ながら環状列石の中に入るのは禁止されている。柵の外側、少し離れた場所から見学しよう。何もない平原にぽつんとたたずむストーンヘンジに、人々を引きつけ癒す不思議な力が感じられるかもしれない。


▽今週の旅のテーマ
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