itt TOKYO2024
itt TOKYO2024

インタビュー:マルタ共和国大使館 特命全権大使 カール・シュレッブ氏

  • 2009年4月8日
マルタ、日本市場を重視−多民族文化やスポットを活かした商品造成をめざす

 日本と中国を兼轄するマルタ共和国大使館、特命全権大使のカール・シュレッブ氏がこのほど来日、日本市場を重視し、予算を増加してプロモーションを展開する考えを示した。現在、マルタへの全世界からの訪問者数は約120万人。このうち日本人のシェアは少ないものの、「日本は消費額が大きく世界でも最も重要なマーケットのひとつ」というのが、日本市場を重視する理由だ。プロモーションの具体案はこれから決定していくものの、日本市場ではパッケージ商品など、レジャーマーケットがメインとなっており、「旅行会社とコミュニケーションをとり、現在の日本マーケットの状況を理解してパッケージ商品造成を促進したい」と意気込みを語る。また、MICEや語学留学などの成長も見込めるとしてあわせてアピールしていく考えだ。


■レジャーマーケットは遺産や文化で訴求

 マルタへのパッケージツアーは世界遺産を巡る商品がメインで、5年ほど前まではシチリアやローマなどと組みあわせた周遊型の商品が多かったが、最近ではマルタのみのモノデスティネーション商品も増えてきている。シュレッブ氏は「マルタには日本人の好きな古い歴史がある」とし、世界遺産としても登録されるオスマン帝国の襲撃に備えるために築いたという要塞都市、ヴァレッタ市街地、複雑な階段や迷路があるハル・サフリエニ地下墳墓やその中の巨大神殿群の3つを紹介。紀元前6世紀頃につくられ地中海貿易で栄えたマルタは、アラブやイタリアなど多民族の歴史や文化が影響されていることから、「小さい国だが多様な文化を体験できる」とアピールする。


■語学留学やMICEの受入体制が充実、成長見込む

 成長している分野は語学留学とMICE。語学留学については、「治安が良く、フレンドリーな気質なので安心して暮らすことができる」と魅力を語り、公用語の英語を学びたいという人たちが、日本人があまりいないというメリットを感じて留学先に選ぶことが多いようだ。語学学校は全部で50校ほどあり、これまでに龍谷大学や近畿大学付属高等学校などの語学研修を受け入れている。学生のほか、リタイア後をのんびりと過ごしたいというシニア層も増えてきているという。

 また、MICEについては「インセンティブが多く、日本からの訪問者数も伸びている」として、今後の集客に期待を示す。一方で「マルタという国の名前は日本でも知られているが、何ができるのか認知されていない」と課題をあげ、メディアを通じて認知向上をはかるほか、旅行会社とのコミュニケーション強化をめざす考えだ。また、日本語を話すガイドが8名いることや、日本食レストランが7軒あることなどを紹介。地中海コンファレンスセンターなど、会議やイベントに対応できる施設は新たに建設中のものもあり、4ツ星、5ツ星ホテルも充実しているとして、受け入れ体制が整っていることをアピール。これまで日本からはトヨタやソニーなどが訪れた実績もあるという。


テーマ性のあるSIT商品開発も進む
マルタ国際マラソンとウォーキングツアー

 最近では、絵画やマラソン、写真のツアーなどSIT商品も販売されている。マルタ
観光局市場開発担当マネージャーの遠藤真吾氏によると、マルタには聖ヨハネ騎士団
が築いた街並みや美しい夕陽など、絵画や写真のテーマにぴったりなスポットが豊富だ。
また、これまで24回開催しているマルタ国際マラソンに参加するマラソンツアーでは、
国土が小さいながらも世界遺産や遺跡の点在するコースを走ることができる。

 2009年の大会では、ヴァージン・アトランティック航空(VS)のスタッフを招待し、
ウォーキングのコースが初めて設定された。これは、日本市場向けに
ウォーキングツアーを造成するねらいで3年ほど前から現地にはたらきかけていたもの。
日本人は6名、現地からは50歳以上の年配者など9名が参加した。これにより、2010年
に第25回を迎える大会からも正式にウォーキングが追加されることとなり、日本市場
向けにウォーキングツアーという新たな商品造成がはじまっている。これまでマルタ
国際マラソンに参加するツアーを造成してきた日通旅行でも商品化が決定していると
いう。

 遠藤真吾氏は、「イムディーナが一番きれいに見える場所がスタート地点。さらに
参加すれば、通常の観光では通り過ぎてしまう道や場所をじっくり見て歩くことができる」
と特徴を話し、「現地の人とのふれあいを直接体感してほしい」とウォーキングツアーの
楽しみ方を伝えた。マルタ観光局では引き続き、商品造成に向けた提案をしていく。