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日系2社、09年度路線計画を決定−増減便あわせ国際線座席数は約8%減

  • 2009年1月29日
 日本航空(JL)と全日空(NH)は1月28日、2009年度の路線設定の計画を発表した。いずれも現在の世界経済など経営環境を考慮し、路線の増便、運休・停止など「選択と集中」を進める内容だ。運航頻度は変更せずに機材を小型化し、リスクを縮小する路線もある。国際線の座席供給量は、JLが前年比8.3%減、NHは8%減を予定する。


▽JL、成田/ロンドン線は増便、中国線ではJALエクスプレスが運航開始

 JLは09年度上期、JALエクスプレス(JC)による国際線の運航開始などにより、効率的な運航体制を構築、収益性の向上をめざす。国際線旅客事業では、機材の小型化に加え、欧州、アメリカ本土線へのJALシェルフラットシート導入を完了するなどプレミアム戦略を促進。関空/ロンドン線は運休するが、成田/ロンドン線を柔軟に時間帯に対応できるよう週7便から14便に増便。さらに、関空/成田線は週7便を国際線として運航、乗継の利便性を向上させる。

 一方、成田/ニューヨーク線は週14便から10便に、成田/バンコク線は21便から14便に、成田/ソウル線は26便から25便に減便する。機材変更も進めており、成田/シドニー線を777−200型機へ、成田/ブリスベン線、成田/マニラ線のJL741/742便はボーイング767−300ER型機に、関空/上海線、中部/広州線はボーイングB737−800型機に、成田/シカゴ線、成田/ロサンゼルス線はボーイングB777−300ER型機に、それぞれ小型化する。さらに、バンクーバー、メキシコ、ミラノ、ローマの各路線では、エグゼクティブクラスにJALシェルフラットシートを導入する。国内線を運航してきたJALエクスプレス(JC)を5月から国際線で展開し、成田/杭州線、関空/杭州線、関空/上海線で運航する。


▽NH、中国やインド路線を減便・運休−関空/成田線の利便性を向上

 NHは、国際線事業では、低需要路線の期間休止や減便のほか、中国、アジア、欧米路線における機材の小型化によるコスト削減と効率化を図る。中部/天津線、中部/広州線、関空/大連線、関空/大連/瀋陽線の運休や、成田/上海線、成田/ムンバイ線の減便は3月29日から実施するほか、成田/広州線の減便は7月1日から実施する。

 機材小型化では、関空/北京線をボーイングB737−700型機へ、成田/ワシントン線をボーイングB777−200ER型機へ縮小し、成田/パリ線と成田/フランクフルト線はボーイングB777−300型機へ変更する。成田/バンコク線ではNH953、916便をボーイングB767−300型機へ小型化し、成田/香港線ではボーイングB747−400型機へと変更する。こうした運休や減便、機材変更により09年度の国際旅客便運航回数は前年比9%減、座席キロは8%減になるという。

 一方、関西圏と成田への利便性を向上。伊丹/成田線のうち伊丹を午後発着する便のコードシェア便を自社運航にして提供座席数を増やすほか、4月1日から6月30日まで関空/成田線を国際線として週7便運航する。関空で出国手続きができるため乗継時間の短縮など効率化をはかるという。


▽国内線は路線の再開も−2社とも静岡空港に就航

 JLは、国内線旅客事業でも国際線と同様に機材を更新してダウンサイズ化を促進。東京/松山線や伊丹/花巻線は増便し、富士山静岡空港の開港に伴い、札幌と福岡に新路線も開設する。ただし、羽田/関空線の減便や、一部路線の季節運航も決定した。

 一方、NHは、路線便数や投入機材の見直し、一部直行便の再開のほか、季節運航や季節増便を計画して需要確保と利便性向上をねらう。静岡空港からは札幌線と沖縄線を設定するほか、福岡/仙台線、福岡/石垣線は4月から運航を再開する。羽田/新千歳線は1日15便から16便に、伊丹/成田線は2便に増便する。09年度の国内線旅客便の運航回数は前年比5%減、座席キロは4%減となる。


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