緊急事態宣言、解除後の旅行再開は-再び東医大・濱田氏に聞く

収束は早くて夏休み前、再開には慎重さが必要
業界挙げて知恵絞り「安全な旅行」の準備を

濱田氏(写真提供:東京医科大学病院)  東京医科大学教授で、本誌に「海外医療通信」を提供する東京医科大学病院渡航者医療センターの部長を務める濱田篤郎氏は、2月末のインタビュー(関連記事)に続いて再び本誌の取材に応え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する今後の見通しについて語った。また、4月7日に初めて発出された緊急事態宣言が持つ意味や、宣言の解除後に日本の旅行業界が取るべき対応についても語った。

 濱田氏は海外旅行者・出張者などの健康を維持する「渡航医学」の日本におけるパイオニアの1人で、日本渡航医学会の理事や東京都の感染症対策アドバイザーなども務める。インタビューは4月15日に実施した。

-東京都など7都府県(16日に全国に拡大)を対象に、非常に緩やかな“緊急事態宣言”が発令されましたが、今回の宣言が持つ意味について教えてください

濱田篤郎氏(以下敬称略) 2月末の時点ではゴールデンウィークまでに国内旅行だけでも再開できると良いと考えていたが、感染者数の増加によって状況は悪化し、5月6日までの緊急事態宣言が出たことでゴールデンウィークの旅行は事実上不可能になった。宣言による感染拡大の抑止効果については、ウイルスの潜伏期間が最長2週間であることを考えると、4月下旬以降になってみないと分からない。

 東京都の新たな感染者数については4月以降、毎日100人から200人の間を増えたり減ったりしながら推移しているが、7割から8割程度の感染経路が不明なので、すでに「感染拡大期」を過ぎて「蔓延期」に入ったと考えていい。他の6府県もそれに近い状態なので、宣言が発令されたのだろう。政府の諮問委員会の会長を務めた尾身茂先生は、累積の感染者数、感染経路が不明な症例の割合、感染者数が2倍になった日数の3つを指標としたことを説明されていた。

 とはいえ日本の感染者数は、かつてのイタリアやスペイン、米国などのように爆発的に増加して、指数関数的に伸びているわけではない。そしてそれらの国々も、専門家の間ではピークアウトに近づきつつあると見られている。

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