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上海吉祥、「武漢特別便」の舞台裏-董支社長、4月以降の需要回復に期待

  • 2020年3月3日

 上海吉祥航空(HO)日本支社長の董蔚氏が本誌インタビューに応じ、1月28日に運航した武漢への特別便について舞台裏を語った。HOは1月28日に関空発上海浦東行きのHO1340便を運航途中で武漢行きに変更し、湖北省からの旅行者ら94名を故郷へ無事に送り届けていた。

 HOはもともと武漢線を運航しており、94名はいずれもHO便を使って日本を訪れて武漢に戻る予定だったが、武漢が封鎖されてHO便の運航が不可能となって帰国の手段を失った。そうしたなか、HOでは社会的貢献の使命を果たすべく検討が始まり、前日27日に特別便の運航が決まった。董氏によると、帰国困難者が日本国内に分散して滞在していると所在を管理できず、さらに「万が一感染者がいればウィルスを拡散する可能性もあった」ことも決断の理由のひとつとなったという。

 当日は、関西空港で董氏自らカウンターに立ち、武漢への運航方針を説明したうえで、もともとの行き先である上海への渡航を希望した旅客は、その後のHO1336便を案内。振り替えの対象となった旅客も快く応じたといい、HO1336便は通常使用するA321型機でなくB787型機へと大型化した機材で上海へと飛び立った。

 HO1340便はそれに先駆けて20時1分に関空を出発後、上海上空まで飛行してから武漢へのダイバートを申請。武漢には23時9分に到着した。同便の乗務員はいずれも自ら手を上げて搭乗し、防護服の着用など感染防止に必要な処置を取ったうえでサービスを実施。到着後は上海にフェリーフライトで移動し、乗務員は14日間隔離、機材は消毒の処置がおこなわれた。なお、武漢へは旅客のほか、HOが集めたマスクなどの物資も搭載して赤十字に寄付したという。


当日のHO1340便の飛行経路/Courtesy of Flightradar24.com

厳しい状況も好転に期待

董蔚氏

 現在HOは他の航空会社と同様に日中路線を減便して運航中。具体的には、新型コロナウィルスの発生前は1日20便を運航していたが、現在は日によるものの2月27日現在では1日3便のみの運航となった。

 ただし、董氏はこのままの状況が何ヶ月も続くとは考えていないともコメント。ウイルスの封じ込めがある程度実現できていることから、日本のゴールデンウィーク前の4月末ごろには回復に転じ「爆発的に一気に上がってくる」と期待を語った。