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週間ランキング、JTB決算が1位、2位は「家庭画報」の旅行会社

[総評] 今週の1位は、JTBが2019年3月期決算で9年ぶりとなる純損失を計上したことをお伝えした記事でした。JTBとHISの業績はどなたでも気になるのか例年多くの方が読まれますが、感覚的にいつもより数が多いのはやはり赤字だからでしょうか。

 詳細データを残している2017年9月以降のメールニュースクリック数を比較すると、昨年6月に掲載した「JATA、正会員4社を正式除名、会費未納で」が3位に入ったり、昨年10月の「HIS、AAAの事業停止で特損約18億円-8月末で営業停止」が10位になったりするなど、「人の不幸は蜜の味」とは違うのかもしれませんが、ネガティブな記事が多くの注目を集める傾向は明白で、業界誌を運営する立場としては微妙な心持ちになります。

 実際には、例えば川崎市で起きた凶行をメディアが粘着質なまでに取り上げ、被害者や遺族への配慮の必要性が指摘されていたりするのを見ると、数が取れると信じているからこそそうしているわけですから、こうした傾向は業界に関係ないのかもしれません。

 実はふた昔ほど前に、ある事件で命を奪われた方の葬儀に参列したことがあります。その時に会場への道すがら「最後の会話はなんでしたか」などと聞いてきたリポーターたちのさも申し訳なさそうな表情は、唾棄すべき対象として生涯忘れることはありません。最後の会話を報じたら何がどうなるのかと今でも思いますが、同じような報道姿勢はなんら変わっていないように見受けられます。

 なんの因果か、心底軽蔑した彼らと同じメディアで働くことになってしまったわけですが、人の不幸につけ込むようなセンセーショナリズムには手を染めたくないと願い続けています。ただ、その意味で今週でいえば2位の新規参入旅行会社のインタビューや6位に入った全日空(NH)のA380型機の記事など、前向きな内容のものがもっと上位に来てくれると嬉しいわけですが、実際にはこういう結果であり、なかなか難しいものがあります。

 ちなみに、今年の5ヶ月間で最もクリック数が多かったのは「全日空、座席指定を有料化、V・W・S・L・Kクラス対象、最大5500円」で、次は「JTBの相談料収受は「良いこと」-観光庁長官、他社の追随に期待」となっており、これらはいかにも旅行業界誌らしく安堵しています。果たして残りの7ヶ月間でこれらを上回る記事が出てくるか、出てくるとすればどのようなものか気になるところです。

 なお、今週4位には国際航空運送協会(IATA)によるルール変更が入りました。具体的には、国際航空券を発券するまでにお客様のメールアドレスと携帯電話番号を聞いてPNRに入力せよというものです。もともと「すべき」であったものが「ねばならぬ」になったということで唐突というわけではないのかもしれませんが、昨秋に決まっていたものを数日前に通知してくるというのは半ば嫌がらせのような印象を受けてしまいます。

 今のところ罰則があるような話は聞こえてきませんが、本件だけでなくもう少し協力的な体制を構築することはできいないものでしょうか。ちなみに欧州では、旅行業系の団体がIATAは反競争的であるとしてEUに調査をするよう訴えたという話題も出ており(リンク)、そういった動きも気になるところです。(松本)

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