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JNTO、訪日4000万人に向けて全方位プロモ-双方向交流も重要

  • 2019年1月28日

JNTO企画総室長の金子正志氏  日本政府観光局(JNTO)はこのほどプレスブリーフィングを開催し、企画総室長の金子正志氏が訪日市場について2018年を振り返るとともに、19年の施策を説明した。18年の訪日外国人旅行者数は前年比8.7%増の3119万人となり、過去最高を更新。6月から9月にかけて発生した自然災害の影響が大きく、年率の伸びは一桁にとどまる結果となったものの、台風被害の大きかった大阪府の外国人延べ宿泊者数は10月に前年を上回る水準に回復し、地震被害を受けた北海道も10月以降前年との差が縮まり、回復傾向が見られると報告した。

 JNTOでは、自然災害で被災した訪日客への情報提供を課題とし、英語のグローバルサイトやアプリ、公式ツイッターなどでの安心・安全情報の提供を強化。被災地域の観光復興に向けたプロモーションを積極的に展開した。金子氏は「ライブ感のある情報を積み重ねて、速やかに風評被害を消していく」とJNTOの取り組みを説明した。

 政府目標である2020年の訪日客数4000万人に向けては、今後2年間で年率13.2%の増加が必要となる。金子氏はそのためのプロモーション方針として、「全方位作戦で行く」と強調した。全体の73.4%を占める中国、韓国、台湾、香港からの訪日客は、18年は伸び悩んだが、「ボリュームゾーンである東アジアの伸長は目標達成に欠かせない」との認識。また、近年の取組強化によって欧米豪のシェアも11.6%に拡大したものの、「4000万人に向けては、さらなる拡大が必須」との考えも示した。

 このほか、19年はビックデータを活用したマーケティングやデジタル対応の情報発信などデジタルマーケティングを強化。これまで希薄だった地域との連携を深め、地域の観光コンテンツの情報整理と世界に向けた発信にも力を入れていく。

 また、金子氏は20年の東京五輪に向けた取り組みも説明。20年は混雑を嫌う旅行者が訪日を避けることも予想されることから、「訪日客数が落ち込むことも考えられる」と指摘したうえで、大会中は訪日メディアを最大限活用し、地方の魅力を発信することで、大会後の誘客強化につなげていく方針を示した。

 加えて同氏は双方向交流についても言及。JNTOは訪日プロモーションの実施主体で直接的に関わるテーマではないとしながらも、「海外で訪日の誘致を進めるとき、相手国への日本人の送客についても話をしなければ、こちら側の話も聞いてもらえない」と明かし、双方向での取り組みの重要性を指摘した。