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JTB、19年海外は過去最高の1910万人予想、訪日は3550万人に

  • 2018年12月20日

 JTBは12月20日、2019年の旅行同行見通しを発表した。海外旅行者数は過去最高となる、18年見込み比1.5%増の1910万人、国内旅行者数は1.5%増の2億9090万人、訪日外国人旅行者数は過去最高の12.3%増の3550万人を見込む。調査は日本人の宿泊を伴う旅行と外国人の訪日旅行について、各種の経済動向予想や消費者行動調査、JTBグループが11月上旬に1200人を対象に実施したアンケート調査などから推計したもので、今回が40回目となる。

 19年は緩やかな景気の回復が続くなか、ゴールデンウィーク(GW)の10連休、新天皇即位の祝賀ムードなどにより、レジャーやショッピングへの意欲が高まるとの見通し。10月からの消費税増税については、プレミアム商品券などの負担軽減策が検討されていること、14年4月の増税時は2ヶ月後から影響が出始めたことなどから、年内はあまり大きな影響はでないとの予想を示した。1月7日からの国際観光旅客税(出国税)徴収については影響が少ないとの見通し。

 このほか、全日空(NH)が2月に成田/ウィーン線に、日本航空(JL)が3月に成田/シアトル線に就航し、LCCも路線の拡充を予定していることを挙げ、海外・訪日旅行者の増加につながると期待。NHの成田/ホノルル線へのA380型機導入による、ハワイへの旅行需要増にも期待を示した。

 海外旅行については、総消費額は1.0%増の4兆6100億円、平均消費額は前年並みの24万1600円を予想。JTBによれば、GWの10連休や国際線の増加などのプラス要因はあるが、少子高齢化によるシニア層の国内旅行へのシフト、好調な訪日旅行とのバランスなどから、旅行者数は1.1%増にとどまる見通し。

 傾向としては、GWの予約時期が従来よりも早まっており、欧州などの遠距離方面を中心に、予約者数が前年の2倍から5倍に増えている旅行会社もあるとした。このほか、フライ&クルーズや値ごろ感のある価格のクルーズなどの増加により、クルーズの人気は継続する見通し。

 国内旅行の総消費額は3.6%増の10兆6500億円、平均消費額は2.0%増の3万6600円で、消費増税の影響などから前年を上回る見通しを示した。19年は3月に北欧をモチーフとした施設「メッツァ」内に「ムーミンパーク」が開業。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンや東京ディズニーシーでも新しい施設やアトラクションが開業し、旅行者の増加の追い風となりそうだ。このほか、新規ホテルの開業や古民家・歴史的建造物などを活用した宿泊施設など、多様な宿泊施設が増えることも、国内旅行の意欲を後押しする要因として挙げた。

 訪日旅行は、成熟市場の中国や韓国、台湾、香港からの外国人旅行者の伸びはやや鈍化するが、欧米や東南アジアからの旅行者の伸びに期待を示した。9月20日から11月2日までのラグビーW杯については、全国12都市で開催されること、開催期間が長いことなどから、訪日外国人旅行者の地域への分散につながると予想する。

 なお、18年の海外旅行者数は前年比5.6%増の1890万人、平均消費額はアジアを中心にLCCを利用する旅行者の増加などから2.0%減の24万1500円と推計。国内旅行者数は7月から9月の自然災害の影響などにより3.0%減の2億8660万人、平均消費額は1.5%増の3万5880円、訪日外国人旅行者数は10.1%増の3160万人を予想する。訪日外国人旅行者の平均消費額については算出していない。