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「脱GTA」、ベッズオンラインが日本市場で攻勢、サービスも大幅強化へ

  • 2018年11月14日
(左から)桝本氏、デール氏、エリアセールスマネージャーの山田昌弘氏

 ホテルから客室を仕入れて旅行会社などにB2Bで卸すベッドバンク企業の最大手であるホテルベッズ・グループが、日本でのシェア拡大をねらっている。ホテルベッズはもともとドイツの大手旅行会社グループTUIの傘下にあったが、16年からは投資会社のもとで事業を展開し、17年にツーリコホリデイズとGTAを相次いで買収した。

 ホテルベッズ・グループは現在、「Hotelbeds」や「bedsonline(ベッズオンライン)」、「ツーリコホリデイズ」、「GTA」などのブランドを抱え、OTAや航空会社などへAPI経由で在庫を提供する事業と、旅行会社からの予約をウェブサイトやコールセンターで受注するリテール向け事業を手がけている。そしてグローバルでは、このうちリテール向け事業をベッズオンラインのブランドに統合することを決めている。

 これに対して日本では、GTAが30年以上の時間をかけてブランドを構築してきており、実際にグループの日本市場におけるリテール向け事業を見るとその85%がGTAの取り扱いであるなど圧倒的な存在感を示しているところで、ブランドの刷新は容易ではないと予想される。

 しかし、11月14日に東京で旅行業界メディアを対象に開催した記者説明会では、ホテルベッズとして統合への準備は着実に進んでいるとアピール。ホテルベッズでアジア地域のリテール向け事業を統括しているスチュアート・デール氏によると、来年1月にはGTAとツーリコでの新規の受注を終了し、すべての取引先がベッズオンラインのプラットフォームへと切り替わっていく計画だ。

 また、単なるブランドや予約経路の統一だけでなく、日本市場でのシェア拡大に向けてサービスも大幅に強化。特に力を入れるのがオペレーションで、コールセンターの営業時間を平日は9時30分から20時までに拡大するほか、土日祝日も9時30分から18時まで稼働。また、会社によってドバイに日本人担当を置いたり海外企業にアウトソースするなどしていた緊急対応の体制も、日本で日本人による24時間対応を実現。すでにトレーニングに取り組んできており、11月19日にはサービスの一部を新体制に切り替えるという。

 こうしたサービス改善のため、オペレーションの担当者の数は10名を30名に増員。また、国内施設の仕入れも強化する方針で、これらを含めると、もともとホテルベッズとGTA、ツーリコの3社合計で65名程度であった従業員数が100名近くまで増えている。

ブランド統合イメージ(ホテルベッズ ウェブサイトより転載)


ベッズオンラインは検索機能強化、GTAブランドは来年第1四半期まで?

 統合先であるベッズオンラインのプラットフォームが現行のGTAよりも優れている点について、ホテルベッズ日本担当リージョナルマネージャーの桝本達雄氏は、「お客様からの質問に対して最適なホテルを提案しやすいよう、検索用のフィルタを20数種類用意している」と説明。フィルタは例えば、予算やホテルブランドだけでなく、無料WiFiや割引の有無などで、それによって絞り込まれた検索結果をGoogleマップ上で確認することもできるという。

 さらに、ホテルを4つまで比較検討できる見積作成機能も実装。今後は、機械学習を経て旅行会社ごとの特性に合わせて表示内容やキャンペーンを変えていく機能の導入も予定している。

 なお、日本市場ではGTAブランドの認知度が高く、また法人も統合が完了していないなかで、現在は名刺にベッズオンラインとGTAのロゴを併記するなど過渡期としての対応を続けているところ。今後についてデール氏は、「統合は決定事項であり、なるべく早くそこをめざす必要がある。19年第1四半期はプラットフォームの統合もあり、そのタイミングで日本市場でGTAブランドが“日没を迎える”のは理想的なシナリオだ」との見方を示した。