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デルタ、アジア戦略変更も「日本の価値変わらず」-森本社長インタビュー

羽田昼間枠獲得で「ステップアップ」へ
関空/シアトル線再開にも期待

森本氏(2018年10月撮影)  2019年4月から約5年半ぶりに関空/シアトル線を再開するデルタ航空(DL)。日米間路線についてはそのほか、最新のビジネスクラス「デルタ・ワンスイート」とプレミアムエコノミークラス「デルタ・プレミアムセレクト」を搭載したA350-900型機などを順次導入するなど、量質ともに拡充を続けている。「次のターゲットは20年の羽田発着枠拡大」と話す日本支社長の森本大氏に、日本およびアジアにおける今後の戦略について話を聞いた。


-来年に関空/シアトル線を再開されます。その背景について教えてください

森本大氏(以下敬称略) DLはここ4、5年にわたり、シアトルを米国西海岸のハブとし、アジアへの玄関口にするために重点的な投資をおこなってきた。シアトルはマイクロソフトやボーイング、スターバックスなどの大手企業が生まれた地で、最近ではエクスペディアやアマゾンなどのIT企業が本社を置くことでも知られている。ビジネス面で成長しており、アジアとの関係もさらに深まっていることで、DLにとっての重要性が上がった。関西線の再開もその戦略の一環として決めたもので、かつては10年から13年にかけて飛んでいたが、その頃の位置づけとは異なる。

 旅客については、過去のデータからビジネス客が多くなると予想している。シアトルは語学留学生にも人気が高いので、夏期には学生の利用も多くなると見ている。


-来年の3月末には日本航空(JL)が成田/シアトル線の運航を開始します。DLも成田/シアトル線を運航していますが、今後の競合についてはどうお考えでしょうか

森本 日米間路線の需要においてシアトルは、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコ、ラスベガスに次ぐ5位だ。しかも日本からは地理的に最も近いのでそもそもニーズが大きいが、重要になるのはシアトル以遠への需要だろう。

 DLは自社便で1日に50都市以上へ170便以上を飛ばしているが、アジアからの便を意識してネットワークを張っているため利用しやすい。この点については他社と比べて優位性があるだろう。日本からの以遠需要は、シアトル線の旅客の30%から40%はあると見ている。また、米国から日本に飛ぶ旅客需要も多いので、その点でも充実した国内線ネットワークで優位に立つだろう。


-20年までに予定されている羽田の発着枠拡大に対する期待をお聞かせください。アメリカン航空(AA)は先日の記者会見で「日米路線に合計16便、米国側に8便が配分されること」を期待していましたが(関連記事)

森本 20年までに例えば1日あたり50便程度の昼間発着枠が増えるとして、そのうちどれだけが米系キャリアに配分されるかがポイントとなる。しかし日米間の航空交渉が正式に始まったわけではないので、待つしかない。DLにも配分された際には、米国の重要なハブから飛ばすのが定石だろう。羽田と成田に飛ばしている既存路線のどれかを充てるのではないか。

 日本のビジネス客にとっては羽田の方が便利だし、米国からの旅客にとっても都心に向かうには羽田の方が圧倒的に便利だ。いずれにせよ「できるだけ多くの羽田枠が欲しい」というのが基本的な立場だ。