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トップインタビュー:ジャルパック代表取締役社長の江利川宗光氏

「主戦場」のハワイで存在感発揮
若年層にもブランドをアピール

江利川氏  今年6月にジャルパックの代表取締役社長に就任した江利川宗光氏はこのほど本誌の単独インタビューに応じ、今後の事業方針などについて語った。日本航空(JL)の執行役員人財本部長、中国地区総代表および中国地区総代表室北京支店長などを経て、旅行会社のトップを務めることになったが、激しい環境変化のなかジャルパックの舵取りをどのように進め、将来を見据えた人材育成などに取り組むのか。「旅行会社はお客様に笑顔を届ける仕事」と話す江利川氏に話を聞いた。


-社長就任にあたっての抱負をお聞かせください

江利川宗光氏(以下敬称略) 大きく分けて3つある。1つ目は業界の変革と発展をリードし、小さくとも輝く存在になること、2つ目はJALグループとして地方創生に貢献すること、3つ目はそのベースとなる人づくりだ。

 変革と発展については、OTAの拡大やFIT化が進むなかでも持続的に成長を続けるために、ホールセラーとしてオンラインでの薄利多売に走ることなく収益性にこだわる。競争が激しくても、お客様にしっかりと支持される商品やサービスを提供できれば収益は上がることを示し、旅行会社としての存在意義を高めたいと思っている。そのためにはJLグループにおける旅行のプロ集団として、過去の枠にとらわれず、新しい分野に挑戦し、価値創造を続ける。

 事業のベースとなるのは人材だが、JLでの33年間のキャリアにおいては人材育成に長い間携わってきた。その経験を生かして、次の時代を担う人材の育成に力を入れたい。


人材育成について、具体的な取り組みをお聞かせください

江利川 旅行会社はお客様に笑顔を届ける仕事。笑顔になっていただく商品を造るには、社員に元気がなければできない。社員がワクワクしながら仕事をして、お客様を笑顔にし、また新たな挑戦をする正のスパイラルを作りたい。

 そのために、まずは健康面から社員を支える。目標の1つとして、経済産業省が推進する「健康経営優良法人~ホワイト500~」に認定されるよう、しっかりと取り組みを進めたい。


働き方改革に関する取り組みは

フリーアドレス化したオフィス 江利川 働き方改革については「ジャルパック・働き方改革推進体制」のなかで立ち上げたWHIP (ホイップ:Work and Holiday Innovation Project)を進める。仕事も休みも充実させる取り組みで、その一貫としてオフィス内をフリーアドレスとし、風通しのいい環境を作った。時には社長も社員の会話に加わる。

 人材育成については、1人ひとりが多様性や創造性を発揮できる「自律型人材」を育成する。その取り組みの1つがObserve(観察)、Orient(方向付け)、Decide(決定)、Act(実行)からなる意思決定プロセスの「JAL OODA(ウーダ)」で、根っこにはJALフィロソフィで掲げている「燃える集団になる」「常に創造する」がある。

 私はJLの破綻時には人事本部長を務めていたので、就任後にはその時の体験を話し、意見交換をする場を設けた。また、10月には同じく経営破綻の危機から立ち直った千葉県のいすみ鉄道の前社長をお招きし、自律型人材について講演していただく予定だ。