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18年の観光アクションプログラム、施設を積極開放、CIQ最新技術も

  • 2018年6月12日

 政府は6月12日、安倍晋三首相が主催する「観光立国推進閣僚会議」の第9回会合で「観光ビジョンの実現に向けたアクション・プログラム2018」を決定した。同プログラムは、16年に3月に策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」や17年3月に閣議決定した「観光立国推進基本計画」などを踏まえて毎年見直しているもので、今回は今後約1年間の取り組みを決定した。特に、昨年9月から今年の6月にかけて計8回開催した「観光戦略実行推進タスクフォース」で打ち出した新たな施策などを反映したという。

 主要施策は、タスクフォースが取りまとめた「観光資源の保存と活用のレベルアップ」「世界水準の旅行サービスの実現」「JNTO(日本政府観光局)・DMOの大胆な改革」の3つの柱を中心に展開。

 1つ目の「観光資源の保存と活用のレベルアップ」は昨年から継続しているもので、観光地として魅力的な公的施設やインフラの公開・開放に取り組む。例えば、他の美術館と連携し、皇居東御苑の三の丸尚蔵館の所蔵品の公開点数の増加をはかる。加えて、文化財の活用を強化。文化財への更なる投資につなげるため、当時の状況を再現した展示などの取組事例の収集や関係者への周知をおこなう。

 また、「国立公園満喫プロジェクト」として、20年までのアクションプランを策定。このほか、「楽しい国日本」の実現に向けた観光資源活性化に関する検討会議が今年の4月に取りまとめた新たな観光資源の開拓策として、夜間の経済活動の促進や観戦型スポーツの訪日客対応、ビーチの観光資源としての活用促進などもおこなう。

 2つ目の「世界水準の旅行サービスの実現」では、国際観光旅客税(いわゆる出国税)の財源を活用しながら、出入国審査に最新技術を導入。顔認証技術を活用した「顔認証ゲート」の導入拡大、高性能X線検査装置や税関検査場の電子申告ゲートなどの整備、空港や港での手続きの自動化と利便性向上などを進める。空港に関しては地方空港の機能強化や新規就航の促進に向けた着陸料の割引などに引き続き取り組む。18年度中に全新幹線で無料WiFiサービスを提供するなどWiFi環境の整備や、訪日外国人旅行者のレンタカー利用環境の整備などもおこなう。

 3つ目の「JNTO・DMOの大胆な改革」では、このほど開始した欧米豪市場向けの「グローバルキャンペーン」や富裕層対策の強化、デジタルマーケティングによるプロモーションの高度化、世界水準のDMOの形成・育成などを実施する。

 さらに3つの柱以外でも、若者のアウトバウンドの活性化に向けた取り組みを促進。その一環として出国税を投入し、旅行安全情報などに関する情報プラットフォームの構築をめざす。なお、観光庁ではこれまで「若者のアウトバウンド活性化に関する検討会」を開催して対策を検討してきたところで、6月15日の第4回会合で最終とりまとめについて話し合う予定だ。

 このほか、プログラムでは中国、インド、ロシアなどを対象にした訪日ビザの緩和推進、民泊サービスへの対応、先ごろの旅館業法の規制緩和などを受けた古民家の活用、クルーズ船受入のさらなる拡充なども掲げている。