日旅、京急電鉄と沿線への誘客強化-神奈川の旅行需要獲得も

  • 2018年5月16日

(左から)原田氏、堀坂氏  日本旅行と京浜急行電鉄(京急電鉄)は5月16日、2月に京急観光の店舗事業などの日本旅行への譲渡と合わせて発表した、京急電鉄沿線への誘客拡大などに関する事業連携について詳細を発表した。神奈川県の三浦半島などを中心に、京急沿線への国内外の旅行者の誘客について協力するほか、日本旅行の親会社が西日本旅客鉄道(JR西日本)であることなどから、瀬戸内や北陸などへの送客にも取り組む。三浦半島の着地型商品の造成や、MICEなどの誘致なども実施。数値目標などは設けていない。

 同日に開催した記者会見で、日本旅行代表取締役社長の堀坂明弘氏は新幹線や航空機を利用し、品川や羽田を通過する国内外の旅行者を三浦半島に誘客する考えを示した。京急電鉄取締役社長の原田一之氏は、三浦半島でのウインドサーフィンなどのマリンアクティビティや、三崎漁港のマグロなどをアピール。「東京や横浜から近い『都市近郊リゾート』である三浦半島を周る新しいゴールデンルートができないか模索していきたい」と意欲を語った。

 今後は日本旅行の海外拠点ネットワークや同社が取引する50ヶ国の700社を活用し、三浦半島の観光素材や京急電鉄の企画乗車券などを販売。アジアを中心に海外の見本市に2社共同で出店する予定で、まずは6月に台北で開催される「日本の観光・物産展2018」に参加する。京急沿線と西日本エリアの相互送客については、日本旅行が京急沿線の観光素材を活用した国内ツアーを造成。下期からは三浦半島エリアの農業や漁業などをテーマにした体験商品を造成・販売するという。

 また、日本旅行は京急沿線発の旅行需要の取り込みをめざし、京急観光が提供していた国内募集型企画旅行商品「京急ナイスツアー」のブランド名を継承して京急沿線を発着地にした「赤い風船ナイスツアー」を造成・販売する。MICEではスポーツイベントなどの誘致に加え、横浜での会議前後の視察旅行などで三浦半島への訪問を提案する。このほか、訪日外国人向けのインフォメーションセンターについても協力する。

 会見で原田氏は、今年の3月に京急観光の店舗事業と法人・団体旅行営業をおこなう外販事業を日本旅行に譲渡したことを改めて説明。「京急沿線の人口が減少するなか、交流人口を増やして沿線を活性化するための取り組みは我々の最大の使命」と強調した。また、譲渡の背景については「旅行商品の販売については、大きな販売ネットワークを有する日本旅行にお願いするのが効率的で成果も出る」と話した。

 堀坂氏は京急観光から取得した神奈川県の6店舗について「JR券が販売できるようになったこともあり、売上高は15%増加した」と説明。「これまで店頭や法人営業では神奈川エリアは手薄だったが、首都圏の旅行需要のポテンシャルは非常に大きい」と語り、国内旅行だけでなく海外旅行の取扱増にも期待を示した。