国内線低採算便の運休が条件付で可能に、LCC増便など促進

  • 2018年4月16日

 国土交通省はこのほど日本国内の航空路線について、予約客が少なく採算の取れない便を条件付きで運休する「経済減便」を認めるとともに、4月10日までに各航空会社に通達した。主に国内LCCからの要望を受けて、同省の検討会が3月末に取りまとめた提言に基づくもので、地方路線の積極的な増便などを促すことがねらい。

 新たに定めたルールにおいては運航便のスケジュール決定後も、一定の条件を満たし「利用者の利便を著しく阻害しない」ことが担保されれば、運休が可能になる。具体的には、運航日の7日前までに国交省に届け出るとともに、予約者にも連絡して払い戻しや他便への振り替えなどを実施すること、運休する便が発着する前後3時間以内に同じ空港を発着する自社便があること、予約時にはウェブサイトのポップアップなどで運休の可能性があることを分かりやすく伝えること、運休便数・路線などの情報を公開することなどを条件とする。

 検討にあたり国土交通省がピーチ・アビエーション(MM)とジェットスター・ジャパン(GK)にヒアリングしたところでは、現在はLCCを中心に週末のみ運航、または週末のみ増便を実施している路線が存在。しかし経済減便が可能になれば、平日を含む毎日の運航および増便が実現して航空会社は経営が安定化させやすくなるとともに、安価な航空運賃が持続的に設定して、利用者や国・地域もメリットを享受できるようになるという。

 同省が昨年8月実施したアンケート調査では、約1000人の回答者のうち、経済減便について「賛成」とした人は23.0%、「条件次第」は64.6%、「反対」は11.9%で、反対は少数にとどまった。なお、経済減便の可能性に関する事前周知については74.2%が「必要」と回答。「ある方が良い」は22.8%、「こだわらない」は2.1%だった。

 経済減便の決定の期日については「7日前」が33.9%で最も多く、以下は「3日前」が24.2%、「前日」が12.6%、「14日前」が11.8%、「1ヶ月前」が9.7%と続いた。「振替可能便がどれくらい近接した時間にあることが必要か」の問いには、約半数の48%が「前後3時間以内」と答え、以下は「前後1時間以内」が25.8%、「同日中」が11.7%、「前後5時間以内」が8.0%だった。

 なお、今後は航空各社が予約状況に応じて運休できる一方、利用者が予約した便に乗れなくなるデメリットが発生する。本誌の取材に答えた国土交通省航空局は「機材繰りなどの問題もあるので、実際に実行するには勇気がいる。そう多くは発生しないのでは」と回答し、既に経済減便を認めているオーストラリアでの運休発生率は1%に満たないことを説明した。FSCについては「運休によりイメージを損なうことなどを考えると、実施する可能性は少ないのでは」と語った。