地元密着・分散と集中に舵切り船出 近畿日本ツーリスト関西・三田周作社長(1)

  • 2017年10月18日

 KNT―CTホールディングスが実施した分社化に伴い、10月1日から事業を開始した近畿日本ツーリスト関西。旅行市場を取り巻く環境が激変し事業再編や組織改革が進む旅行業界にあって、地域会社を本社に統合するJTBとは対極に舵を切った。「地元密着」を針路に掲げて船出した近畿日本ツーリスト関西の三田周作社長に話を聞いた。

 ―団体、個人と2つの市場に大別してこられてきて、今地域ごとに分社化するのはなぜですか。

 一番は外部環境が大きく変わったことです。インターネットが隆盛し、地方創生の中で地域誘客が盛んになり、スポーツビジネスなどと同化していく動きもあります。既存の4つのエリア会社(北海道、東北、中国四国、九州)が想定以上に堅調な営業成績をあげていることもあります。

 逆に言うと、団体と個人で分けることによって取り込めていない分野があります。それを見据えて「分散と集中」をキーワードに、分散させるところ、ガバナンスを効かせ集中するところを選択するということです。

 例えば、お一人のお客様はいくつもの顔を持っておられます。ご夫婦やご家族で旅行するお客様が、インセンティブや職場旅行、地域のコミュニティで旅行する場合のオーガナイザーになるなど、いろいろな役割を持っておられる。これを団体と個人という分け方だけでは一人のお客様としての認識ができません。

 ―商機を逸していたことも少なくなかったと。

 そうですね。個人向け企画商品を団体の営業担当者が販売する意識は希薄になっていました。しかし航空券、宿泊など同じ仕入で業務は一本です。そう考えると、もっとシナジー効果を出さなければなりません。

 クラブツーリズムの強みは企画担当者が自ら添乗し、自分が仮説を立てたツアープランの反応がダイレクトに見えることです。それが強みの循環であり、添乗やお客様の評価に対するこだわりを持ってお客様視点で極めていると思います。

 前任の近畿日本ツーリスト中国四国では、団体と個人を一緒にやっていたこともあり、関西でも横の連携“ヨコレン”を高めようとクラブツーリズムも個人会社も団体も定期的に会議をしてシナジーをどう出すかということを昨年からやっていました。


情報提供:トラベルニュース社