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地元密着・分散と集中に舵切り船出 近畿日本ツーリスト関西・三田周作社長(2)

 ―協定旅館連盟との商談会で、新会社の方針を「ランドセルから終活まで」と例えられていました。改めて、その真意を聞かせてください。

 少子化と言われていますが、私自身は教育旅行の持つ力を今も感じています。特に私たちは教育旅行からスタートした会社です。海外留学から進学へ、グローバル人材育成など領域も拡大しています。特に積極的にコマーシャルをしていないものの比較的当社が社会から認知されているのは教育旅行の力が大きいのではないでしょうか。小学校、中学校、高校の時に弊社のネームタッグをつけてもらい、学校では必ず説明会を開き保護者に今回の旅行は近畿日本ツーリストの支店が担当しますとごあいさつをさせていただく。お子様の命を預ける会社ですから、そこには信頼というブランドが生まれます。そして、我々も一緒になって生徒とともに学びダイレクトに関わります。こうしたことが近畿日本ツーリストのブランド認知につながっていることは多分にあると思うのです。

 インターネットで旅行を取り扱うことに比べれば非常に泥臭く、効率という面でも真逆かもしれません。しかし5年、10年という長期的なタームでは、こんな取り組みが認知を高める要因なのではないかと思います。

 実は今どこの地域も教育旅行を受けたい思いがあり、次の時代の旅人口を創出する期待もあります。卒業以降も様々な販売チャネルで接点を持ちたいと考えています。
 
10月から「近畿日本ツーリスト・クラブツーリズム」のロゴを一緒にして看板や名刺もすべて作り替えていきます。ここを一体化することによって、教育旅行のランドセルから、クラブツーリズムがやっている終活ツアーまで、いろいろな旅行が提案できることを発信します。KNT―CTホールディングスの「ライフタイム・バリュー」というお客様の生涯価値に接点を持っていける会社を目指すわけです。

 一方で、我々には旅館ホテルなどの関係機関、売っていただくお客様がいらっしゃいます。その認識はリアルに持っていなければなりません。在庫をお預かりし売らせていただくお客様をなくして我々のビジネスはあり得ないのです。私が入社した30年前は、我々が施設を選べた時代でした。でも、今は施設の方がエージェントを選ぶ時代になっています。

 だからこそ我々は、ランドセルから終活まで長期の視点でお客様に寄り添い、選ばれる会社であり続けたい。百年企業が多い旅館ホテルと同様に、近畿日本ツーリスト、KNT―CTホールディングスを未来永劫どう発展させるか。買っていただくお客様、売っていただくお客様のパートナーになりたいのです。


情報提供:トラベルニュース社