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受注型BtoB約款、第1種の1割強が認可取得-受付開始から1年

  • 2017年7月5日

 観光庁によると、昨年の7月1日に申請の受付を開始した「受注型BtoB約款」の認可を取得した第1種旅行業者は、今年の7月1日の時点で86社に上ることがわかった。受付開始から1年間で、全国の第1種旅行業者のうち1割強が認可を取得したことになる。なお、第2種や第3種などについては申請先が各都道府県となるため、全国レベルの集計はおこなわれていないが、旅行会社数が最も多い東京都でも計20社にとどまることから、地方ではさらに少ないと見られる。

 受注型BtoB約款は企業の団体旅行など事業者を相手とする受注型企画旅行について、契約する事業者との特約により、標準旅行業約款の取消料表の上限を超える取消料を設定可能にするもの。標準約款では、消費者保護の観点から取消料表の上限を超える特約は認められていないが、相手方が事業者である場合は一般の消費者と異なり、旅行業者との情報力や交渉力の格差はないと考え、定率や定額などの方法で取消料を設定できるようにした。約款の導入に向けて観光庁と検討を続けた日本旅行業協会(JATA)は、同約款によりこれまではキャンセルポリシーの厳しさから敬遠してきた海外のホテルなども、積極的に利用できるようになるとの見方を示している。

 本誌の取材に応えた観光庁観光産業課によれば、7月1日時点の第1種旅行業者数は705社で、受注型BtoB約款の認可を取得した旅行会社の割合は12.2%。取得が最も多かった月は10月で「約款の認知度が高まり始めたと思われる8月頃に申請し、処理期間の約2ヶ月を経て認可されたケースが多いのでは」という。取得件数については「企業の報奨旅行などに特化した約款なので、すべての旅行会社にとって必要なものではない。多いか少ないかについてはわからない」とした。

 東京都産業労働局の観光部振興課によれば、7月1日の時点で認可を取得している東京都の第2種旅行業者は441社中7社、第3種は1543社中13社、地域限定旅行業は4社中0社で、合計は1988社中の20社。認可を取得した旅行会社の割合は1.0%で、ほとんどが7月と8月に申請し、9月から10月にかけて認可を取得したという。取得件数については観光庁と同じく「多いのか少ないのか判断できない」とコメントした。ある全国旅行業協会(ANTA)の関係者は「受注型BtoB約款は主に海外旅行を念頭に置いたもの。ANTA会員における取得割合は多くないはず」との見方を示す。 

 なお、大手旅行会社については、JTBグループは昨夏から秋にかけて、JTBコーポレートセール、JTB関東、JTB西日本など法人を扱う18社が取得。KNT-CTグループでは、KNT-CTホールディングスとKNT個人旅行が10月に、KNT北海道、KNT東北、KNT中国四国、KNT九州が1月にそれぞれ取得した。両グループともに、約款を活用した件数や案件の詳細などについては明らかにしなかったが、KNT-CTグループは「使用頻度は増えている」と伝えた。
 
 そのほか、日本旅行は昨年10月に認可を取得。これまで数件に適用した。同社グループではそのほか、第2種の日旅サービスが昨年7月、第1種の日本旅行北海道が1月、同じく第1種の日本旅行東北が3月に取得したが、現時点で使用実績はないという。そのほか第2種の日本旅行沖縄が申請中で、近日中に取得する見通し。