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ドコモ、訪日向けSIM開始、動画広告視聴で無料に

SIMカードとパッケージは富士山や和柄など日本らしさを感じさせるデザインにした  NTTドコモは7月1日から、訪日外国人旅行者向けのデータ通信専用のプリペイドSIMカード「Japan Welcome SIM」の販売を開始する。同社の通信ネットワークを15日間利用できるもので、動画広告などを視聴すると無料で高速データ通信量をチャージできるのが特徴。また、通常はSIMカードを挿入してインターネットのサーバーに接続する際に必要な「APN設定」を不要にし、利便性を向上した。自社での販売に加えて、Booking.comや東急ホテルズなどパートナー企業において客室の予約時などにオプションとして販売する予定で、2020年までに100万人の利用をめざす。

 6月26日に開催した記者会見で、同社ビジネス基盤推進室室長の太口努氏は、観光庁の最新の調査によれば訪日外国人旅行者の約3割が通信環境に不満を抱えていると説明。「通信事業者としてなんとかしたいと考えており、『訪日旅行客にもっとオトク・快適な通信を』をコンセプトに開発した」と語った。

太口氏  「Japan Welcome SIM」の対象者は満20歳以上の訪日外国人旅行者。日本語、英語、中国語簡体字・繁体字、韓国語、タイ語で展開する専用サイトで事前に申し込みをおこない、成田の第1・第2ターミナル、羽田の国際ターミナル、関空の第1ターミナルにあるJALエービーシーカウンター、ドコモショップ博多バスターミナル店でSIMカードを受け取る。今後は訪日外国人の多いエリアのドコモショップでの取り扱いも検討するという。

 料金プランは、事前の広告動画の視聴やアンケートへの回答など一定の条件を満たすことで、128Kbpsのデータ通信を無料で利用できる「プラン0」のほか、広告の視聴などをせずに128Kbpsのデータ通信を1000円で無制限に利用できる「プラン1000」、最大682Mbpsの高速データ通信を500メガバイト利用できる1700円の「プラン1700」の3種類を用意。いずれのプランも、広告視聴などで追加の高速データ通信量をチャージできる無料メニューや、100メガバイトを200円、500メガバイトを700円で購入できるメニューを用意した。なお「プラン0」については10月から提供を開始する予定。

 同社は利用者獲得に向けて、宿泊や観光、交通、飲食、小売、メーカーなどさまざまな業種の企業と協業する。協業の形態としては、宿泊施設や旅行会社、航空会社などが宿泊プランやツアー商品、航空券などと同サービスをあわせて販売できる「オプション提供型」と、訪日外国人が旅行中にパートナー企業のウェブサイトやアプリを利用する際に、高速データ通信量をカウントしないようにする「カウントフリー型」の2種類を設ける。

 協業の第1弾として、Booking.comと東急ホテルズとの協業を開始。Booking.comは「カウントフリー型」で協業し、公式ウェブサイトで今回のサービスを紹介する。東急ホテルズは「オプション提供型」で協業し、まずは訪日外国人旅行者が宿泊者の7割を占める「ザ・キャピトルホテル東急」の宿泊プランのオプションとして販売を開始し、その後は順次、都内やその他の大都市の外国人利用者の多いホテルへ展開する予定だ。