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週間ランキング、JTBのクオニイ買収1位、2位もJTB決算

[総評] 今週の1位は、当然のことながらジェイティービー(JTB)がクオニイの旅行関連部門の買収を決めたニュースです。正確には全世界に広がっていたクオニイのネットワークすべてではなく、欧州での「受け」とグローバルのMICE部門のみですが、それにしても日本でも極めて大きな存在感を持つクオニイブランドがJTB傘下に入るという事実は衝撃的です。

 記事では、2011年にクオニイがガリバーズ・トラベル・アソシエイツ(GTA)をトラベルポートから取得して以降の大まかな動きをまとめていますが、昨年5月にクオニイを買収した投資会社は、約1年を経てクオニイを見事にバラバラにしてしまいました。

 投資会社が昨年2月に株式公開買い付けを実施した際にはクオニイの取締役会も同意しており、クオニイグループCEOのズービン・カルカリア氏は「今回の取り引きは我々の戦略展開を加速させることができ」、「クオニイグループを旅行業界において確固たる地位へ導く」との期待感をコメントしていたわけですが、彼はこうなることをどの程度予想していたのでしょうか。

 「確固たる地位」をめざしていたはずが、行きついたのはGTAのホテル流通はホテルベッズに、クオニイの欧州以外はトーマス・クック・インディア・グループに、そして欧州とMICEはJTBに売られる姿で、各国政府向けにビザの発給業務代行サービスを提供する事業のみが残っていますが、これだけ保有し続けるわけもないでしょう。

 クオニイジャパンがリクナビ2018上で公開している情報によると、従業員数は182名と非常に多く、また日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)のサイト上では手配可能な国・地域として103のデスティネーションを列挙しています。

 これに対して買収の完了後は、ブランドとしての「クオニイ」は残すという話ながら欧州以外のデスティネーションは基本的に直接手配できなくなるはずで、組織体制や規模などがどのようになるかは分かりません()。普通の感覚で考えれば業務範囲が狭まる時には人数も減るはずでしょうし、関係者の皆様はご不安を感じられているのではないかと心中をお察し申し上げます。

 とはいえ、今週は2位もJTBで16年度の決算がランクインしていますが大幅な減益となっており、この状況で過去最大規模のクオニイ買収を実施するということは相当な意味を持つはずで、「買った側は安泰」などということもありえません。

 折しもHISがミキ・ツーリストの持株会社を子会社化したばかりですが、旅行業界であるとか欧州への旅行市場であるとか、そういったマクロ的な観点での影響も非常に気になります。もしかすると、日本の旅行業界にとってこれ以上ないほど大きな変化がもうすぐそこまで来ているのではないか、そんなことを考えさせられる1週間でした。(松本)

※実際には、一部デスティネーションは継続して直接手配が可能で、他のデスティネーションも従来通りの競争力を維持されることが分かりました(リンク
2017年6月30日追記

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2017年05月26日0時~06月02日13時)
第1位
JTB、クオニイ買収へ、アジア発欧州旅行需要を獲得(17/05/30)

第2位
JTB、16年度は減収減益、FIT不調で-17年度はウェブ販売強化(17/05/28)

第3位
トップインタビュー:旅工房代表取締役会長兼社長の高山泰仁氏(17/05/31)

第4位
日本航空、9月から成田/メルボルン、コナ線-パリは運休(17/05/29)

第5位
HIS、2Qは増収も営利27%減、1Qの営利減やHTBの回復遅れで (17/05/28)

第6位
旅工房、16年度は増収増益、売上・利益ともに過去最高(17/05/30)

第7位
チャーター規制、関空の個札要件緩和へ、第1種へ全席卸売可に(17/05/31)

第8位
関空、4月の国際線旅客数は8.3%増、外国人は過去最高(17/05/28)

第9位
関西エアポート、初の通年決算は売上1802億円、純利169億円(17/05/31)

第10位
HIS、AAAの出資比率引き下げ、持分法適用関連会社へ(17/05/28)

第11位
Booking.com、年内に新しい決済手段、NO SHOW対策意識(17/05/31)

第12位
ツーリズムEXPO、17年はBtoB強化-15ヶ国大臣会合も(17/05/30)

第13位
ツーリズムEXPO、19年は大阪開催、20年は沖縄で(17/05/30)

第14位
エクスペディア、販売単価比較システム「Rev+」の提供開始(17/05/30)

第15位
観光庁、新たな通訳案内士制度の検討開始、研修など議論(17/05/30)

第16位
パリ、日本人は「順調に回復」、1月と2月は6割増(17/05/29)

第17位
ドバイで中東最大の商談会、日本市場は新体制で2割増へ(17/05/31)

第18位
シルクエアー、10月に広島/シンガポール線、週3便で(17/05/31)

第19位
NZ、羽田線の昼便化や増便に意欲、成田も維持(17/05/31)

第20位
外務省、フィリピンに注意喚起、ミンダナオへの戒厳令で(17/05/28)


※除外した記事(本来は10位以内にランクイン)
 ◆人事、JTB役員-6月30日付(17/05/28)
 ◆人事、日本旅行支店長・部長級(17/05/31)
 ◆人事、キャセイパシフィック航空-部長級・支店長(17/05/31)