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政府、17年度の観光アクションプログラム策定、ビジョン実現へ

 政府は5月30日、首相の安倍晋三氏が主催する「観光立国推進閣僚会議」で「観光ビジョンの実現に向けたアクション・プログラム2017」を決定した。同プログラムは毎年見直しを実施しているもので、昨年に策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」で掲げた20年の訪日外客数4000万人などの目標の達成に向けて、今春に開催した「観光戦略実行推進タスクフォース」で打ち出した新たな施策などを反映した。

 主要施策は、タスクフォースが打ち出した「観光資源の保存と活用のレベルアップ」「『楽しい国 日本』の実現」「JNTO(日本政府観光局)の大胆な改革」の3つのテーマを中心に展開。このうち「観光資源の保存と活用のレベルアップ」については、一般公開を開始した赤坂迎賓館と京都迎賓館については、通年で公開するとともに、季節によっては夜間公開も実施するとした。赤坂迎賓館については、公園に設ける休憩施設などの設計業務に着手。そのほか、公的施設の公開拡大に伴う維持費用の増大などを受けて、料金水準のあり方について検討を続ける。

 そのほかには文化財を核とする観光拠点を全国で200程度整備。成功モデルの創出に向けて、青森県弘前市など4地域に重点的な支援をおこなう。観光資源としての活用をめざす国立公園については、先進的な取組を実施している8公園ごとの「ステップアッププログラム2020」に基づき、ホテルの誘致やアクティビティの拡充、景観改善などを推進。例えば日光国立公園では、高級ホテルの進出などを見据えて、富裕層を含む幅広い層を受け入れるための環境整備を進める。

 「『楽しい国 日本』の実現」については、新たなスローガンとして「楽しい国 日本」を掲げ、観光資源の開拓を促進。伝統芸能などの参観型コンテンツやサイクリングなどの参加型コンテンツについて、受入体制の整備や情報発信を強化するという。美術館や博物館などについては、さらなる開館時間の延長を促す。

 「JNTOの大胆な改革」については、国別の目標やターゲットを設定するほか、欧米豪の訪日に関心のない層を取り込むために、新たなキャンペーンを展開する。また、地方自治体やDMOとの連携などにより、地方が実施するプロモーションの質を引き上げる。MICE誘致に向けては、政府の横断的な支援策をまとめたアクションプランを策定。訪日ビザについてはフィリピン向けの数次ビザ発給要件を緩和する。

 そのほか、古民家などの活用について検討する「歴史的資源を活用した観光まちづくりタスクフォース」が今年5月にとりまとめた内容を受けて、「農泊」に取り組む地域を20年までに500地域創出。体験プログラムの開発や古民家の改修などを支援する。また、古民家などを宿泊施設やレストランに改修して観光まちづくりの核として活用する取組を、20年までに200地域で展開する。

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