JTB、16年度は減収減益、FIT不調で-17年度はウェブ販売強化

  • 2017年5月28日

高橋氏  ジェイティービー(JTB)グループの2017年3月期(16年4月1日〜17年3月31日)の連結業績で、売上高は前年比3.5%減の1兆2965億3800万円だった。営業利益は37.0%減の101億7500万円、経常利益は42.0%減の129億6200万円、当期純利益は58.4%減の52億3000万円。海外、国内法人旅行や訪日旅行は堅調だったが、海外、国内個人旅行が低調だったことで、5期ぶりの減収減益となった。このほか、販管費は1.6%減の2605億7600万円となった。

 5月26日に開催した記者会見で、JTB代表取締役社長の高橋広行氏(※高ははしご高)は減収減益の要因を説明。九州地震や欧州のテロ事件の影響に加え、「従来のパッケージツアー中心のモデルが、旅行市場のFIT化やウェブ化などの環境変化に対応できなかった」と話した。

 旅行事業の売上高の合計は3.2%減の1兆1691億4500万円で、このうち海外旅行は3.8%減の4623億4600万円、国内旅行は4.2%減の5790億5700万円。訪日旅行や海外発海外などの国際旅行は4.3%増の1277億4200万円と前年を上回った。商事事業や出版事業など「その他の事業」は6.5%減の1273億9300万円だった。

 旅行事業の売上原価は3.0%減の9202億5700万円で、売上総利益は3.8%減の2488億8800万円。内訳は、海外旅行が0.2%減の1032億2800万円、国内旅行は8.1%減の1181億9800万円、国際旅行が3.1%増の274億6200万円となった。

 各セグメントの状況では、海外旅行はルックJTBの売上高が5.5%減、法人営業が2.2%増となった。国内旅行はエースJTBが4.8%減、法人営業は1.2%減と微減した。国際旅行は、訪日旅行の売上高が9.2%増の730億円、海外事業会社による「グローバル事業」が1.6%減の547億円。ただし円高の影響を除外すると、それぞれ12.6%増、9.5%増になるという。訪日旅行の取扱人数は、「サンライズツアー」が10.3%増となった一方、宿泊・ツアー予約サイト「JAPANiCAN.com」は9.4%減と減少した。

 18年3月期の見通しについては、売上高は6.4%増の1兆3800億円、営業利益は11.5%減の90億円、経常利益は22.9%減の100億円、当期純利益は15.9%減の44億円を見込む。売上高は国内の法人旅行や訪日旅行を中心に増加し、海外旅行も回復する見込みであることから増収を予想。各利益については、訪日事業への投資や仕入れの強化などにより、減少する見込みだ。

 なお、JTBはこのほど、18年4月に地域会社などを本社に統合する事業再編計画を発表しているが、再編に伴う費用は算出中で、今回の予想には組み込んでいない。


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