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JALグ、16年度は減収減益-17年も「身をかがめる時期」に

  • 2017年4月30日

会見の様子。左から斎藤氏、植木氏、常務執行役員の西尾忠男氏  JALグループは4月28日、2017年3月期(2016年4月1日~17年3月31日)の通期連結業績を発表した。売上高は前年比3.6%減の1兆2889億6700万円、営業利益は18.6%減の1703億3200万円、経常利益は21.1%減の1650億1300万円、純利益は5.9%減の1641億7400万円。営業費用は0.8%減の約1兆1186億円、営業利益率は2.4ポイント減の13.2%だった。

 28日に開催した記者会見で日本航空(JL)取締役専務執行役員財務・経理本部長の斉藤典和氏は、売上高の減少は国際線における燃油サーチャージの減収や円高、利益面の減少は整備費および賃金制度の改定による人件費の増加によるものと説明。特に人件費の増加だけで250億円近い減益要因となったことを伝えた。代表取締役社長の植木義晴氏はこのことについて「経営破綻後に人件費を大きく落としたが、これだけの利益を上げてそのままにしては経営者として正しくないと思った」と述べた。

 国際線の旅客収入は7.5%減の4152億1800万円で、斎藤氏は「燃油サーチャージの減収と円高の影響を除けば実質的には増収」と強調した。有償旅客数は0.8%減の839万4777人。座席供給量を表す有効座席キロ(ASK)は0.1%増、旅客輸送量を表す有償旅客キロ(RPK)は0.8%増で、有償座席利用率は0.6ポイント増の80.3%となった。単価は6.8%減の4万9461円、イールドは8.2%減の10.2円、ユニットレベニューは7.6%減の8.2円だった。

 国内線の旅客収入は0.5%減の4986億2800万円で、有償旅客数は1.4%増の3257万397人。旅客数については九州地震による減少も見られたが「先特割引」などの各種割引運賃のアピールにより増加した。ASKは1.2%減、RPKは0.9%増で、有償座席利用率は1.4ポイント増の69.3%。単価は1.9%減の1万5309円で、イールドは1.4%減の20.3円、ユニットレベニューは0.7%増の14.1円だった。

 17年度の連結業績予想は、売上高は3.9%増の1兆3390億円、営業利益は16.6%減の1420億円、経常利益は17.0%減の1370億円、純利益は39.1%減の1000億円。燃油サーチャージの増収や円安により売上高は増加するものの、旅客管理システムの刷新や機材の整備などの戦略的投資などにより、利益はさらに減少するという。植木氏は17年度については「16年度に続いて身をかがめる時期」と語り、この日発表した20年度までの中期経営計画の後半において、積極的な回収をはかる考えを示した。