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JTB、来春の再統合は「第3の創業」、OTAなどに対抗

  • 2017年4月1日

代表取締役社長の高橋氏  ジェイティービー(JTB)は3月31日、来年4月に地域会社などを本社に統合する組織再編計画を発表した。JTBは2006年4月に完全分社化し、本社を持株会社化しているが、このうち各地域で店舗運営などをおこなうJTB北海道からJTB九州までの地域会社10社、JTBコーポレートセールス、JTB国内旅行企画、JTBワールドバケーションズなどの5社をJTB本社に統合する。

 31日に開催した記者会見で代表取締役社長の高橋広行氏(高ははしご高)は、今回の再編について「創業時のチケット代売、その後のパッケージ旅行の大量販売に続く『第3の創業』と位置づけて、新たなビジネスモデルを構築したい」と表現。今後については従来の旅行業の枠組みに囚われることなく、「ヒト・モノ・情報のすべてが交差する交流」を作り出すことに注力するとした。

 高橋氏の説明によれば、12年ぶりの大規模再編の主な理由は、OTAやシェアリングエコノミーの台頭などによる市場環境の変化。06年の分社化ではコスト削減や経営判断の迅速化、地域への密着などをめざしたが、その後の10年間の急激な変化によって「このままでは新たな変化に対応できず、グローバルのOTAなどにも対抗できない」との考えに至ったという。

 一方で、分社化後から現在までの11年間については「個人や法人、訪日、地方と、各市場への密着度は高まった。小回りの利く意思決定ができるようになるなど、大きな成果があった」と振り返った。今後については「成長分野に人材などの経営資源を再配置する」と語り、引き続き意思決定の迅速化なども進めて「攻めに転じる態勢を整えたい」と語った。

 来年4月の再統合以降、JTB本社にはグループの経営戦略やガバナンスを担う機能に加えて、新たな事業戦略の推進機能として「国内個人」「国内法人」「グローバル」の3つのビジネスユニット(BU)を設ける予定。統合される各事業会社の営業所は個人事業と法人事業に分離し、各BUに配置して製販一体体制を確立する。15社以外では、例えばJTBビジネストラベルソリューションズなどは「国内法人BU」、JTBガイアレックなどは「国内個人BU」の下に置き、法人格を維持しながら他のBU構成会社と連携する。


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