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「静岡ツーリズムビューロー」発足、責任者に元マカオ・府川氏

  • 2017年1月26日

(左から)静岡県知事の川勝氏、静岡ツーリズムビューロー・ディレクターに就任した府川氏 静岡観光協会内に、1月1日付で静岡ツーリズムビューローが新設された。静岡県全域を対象エリアとするDMOとして、多様な地域、分野の関係者と協働しながら、世界の旅行者から選ばれる観光地域づくりに取り組んでいく。ディレクター(総括責任者)には、マカオ政府観光局などの日本での活動を受け持つマイルポストで取締役を務めていた府川尚弘氏が就任した。

 府川氏は、1994年から日本政府観光局(JNTO、当時は特殊法人国際観光振興会)で東京ツーリストインフォメーションセンター、国際会議事務局、外客受入事業、観光交流事業、企画調査事業など訪日外国人旅行者誘致事業を担当。04年から16年末までの12年間はマイルポストで、主に海外の政府観光局やクルーズ船社などをクライアントとして、マーケティング業務を担当してきた。今回の統括責任者の公募では、240名超の応募のなかから選ばれたという。

 就任にあたって府川氏は、静岡ツーリズムビューローは「静岡県のインバウンドツーリズムを振興するための『機能』として作用すべき」であるとし、「温故知新による次世代を担う子ども、若者に対する貢献をする国際観光」、「2人にやさしいツーリズム」、「みんなの『しあわせ』」の3点を目標とするコメントを発表。

 1点目については、静岡が持つ多様な魅力が外国人の視点による再評価を得ることによって、子どもたちが地域に対して自信や自覚を持てるようにし、国際感覚を身につけられるようにしたい考え。また、2点目は、ユニバーサルツーリズムの観点で、「誰が旅をしても、静岡の人々の温かさとやさしさで期待以上の満足を、そして、地域の方々に、地域の誇りを体感してもらうことで、来てもらってよかったという充足を」得てもらえるようにしたいという。

 さらに、3点目は「選ばれる観光地」としてだけでなく、「来てほしい人に来てもらうイニチアチブを持ったデスティネーション」となるための取り組みを進めるためのもの。身の丈にあった展開の中で、高品質な旅行体験を提供して旅行者も受け入れ側も満足するような県全体の「しあわせ」をめざす。

 今後の活動については、まず海外営業と海外広報を重点的に展開し、短期での実績もねらう一方、マーケティング活動においては、県内の市町や地域DMOがつくるプログラムについて海外での販路開拓に取り組むほか、静岡に来たくなる市場環境の醸成のための活動をする。

 また、市町や地域DMOとの役割分担のもと、市町、地域DMOにとって必要ながら単体では解決が難しい課題について、相互に連携して対応し、地域のリーダーシップと成功事例を生かしながら、必要とされる機能を提供していくことで県全体の相乗効果をねらう。

 静岡ツーリズムビューローの英語名称は「Tourism Shizuoka Japan」。全国で100を超えるDMOが設立または準備されているなか、海外市場で日本ブランドの下の静岡、そして静岡の下の県内各地域といった一体感のある展開をめざす。また、市場ニーズと観光資源や魅力を合致させ、旅行者の満足度や県民の理解度と充足度で日本一をめざす。

 なお、1月25日に開催した静岡ツーリズムビューローの開所式には静岡県知事の川勝平太氏も参加。挨拶では、同ビューローが「本県インバウンドの司令塔として役割を存分に発揮できるよう、県も一体となって取り組んでいく」と意欲を示した。