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週間ランキング、1位はアニメ聖地-EXPO会場から

[総評] 今週の1位は、9月16日にアニメツーリズム協会を設立したというニュースでした。こうした団体は「○○協会」という名称だけでもエコツーリズムやショッピングツーリズムといったテーマで存在しており、全体では一体どれだけあるのかわかりませんが、おそらく今後も増えていくのでしょう。

 取材する側としては、新たに会社を作ったとか計画を立ち上げたとか、諸々の旗揚げは大きく報じる一方その後については後回しになってしまいがちで、この点については反省しきりですが、今回の団体も目的実現のための具体的施策についてもっと詳しくお聞きしたいと感じます。

 例えば、88ヶ所の聖地を定めるということですが、例えば今話題になっているアニメ映画のようにこれからも作品は公開され続けていくわけで、その対応をどうするのかは気になるところです。

 また、ファンの投票は多いけれども受け入れに積極的でない地域と、投票は今ひとつでも是非聖地として認定してほしいと願う地域、もっといえばもしかするとそのためなら金銭的な負担もいとわないという地域があるかもしれず、そうした時に協会としてどう判断するかも真の成功に影響を与えるでしょう。

 個人的には、こうした趣味性の強い、いわゆるSITの旅行は結局のところそれぞれのファンがすべてを判断する世界であって、聖地という認定自体に最初から意味があるわけではないですので、どれだけファンをサポートするような姿勢に徹することができるかが重要であるように感じます。

 顧客目線というのは言葉で言うほど体現しやすいものでもないでしょうけれども、逆に自分が欲しくもないものを人に売る、という行為に本質的な無理があることも確かでしょう。高田馬場に「まずい魚」という飲食店がありますが、名は体を表さずしっかりと美味しい魚料理を提供しており、事程左様に基本的には自分が客であれば良いと思うであろうものを提供するのが商売なのではないでしょうか。

 また、ここまで考えてふと思い至りましたが、顧客目線を構成するものは何かといえばそれはいわゆる五感です。もちろん実際にはそれによって引き起こされる喜怒哀楽などが重要であるわけですが、それもすべて見て聞いて嗅いで触って味わうという感覚がなくては成り立ちません。

 つまり旅行という行為も、突き詰めれば目、耳、鼻、皮膚と舌に、せいぜい第六感を加えたたった6つの感覚の組み合わせでしかないということであり、この事実は言ってしまえば当たり前のことながら、なんとなく新しい思考の広がりの可能性を感じます。

 例えば、本稿はツーリズムEXPOジャパンの取材の合間に書いていますが、会場をぱっと見て回った限りでは、正直なところ例年と大した差は感じられません。これまでは、家電や車などのようにもう少し旅行にも変化が生まれないものかと思っていましたが、そもそも典型的な観光においては、景観や歴史的建造物、郷土料理のように五感に提供する刺激が変わらなかったものが資源となっている場合が多く、展示内容が変わってしまう方が不自然といえます。

 とはいえ、展示「手法」は工夫のしがいがあるでしょう。今年はヘッドマウントディスプレイを使った展示も散見されるところですが、視覚と聴覚ばかりでなく、触覚や嗅覚、あるいはどんなものか想像もつきませんが第六感に訴えるような展示を考えてみるのも面白いアプローチではないかと思います。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2016年09月16日0時~09月23日13時)
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