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環境省、自然を活用した商品造成を提案、「潮風トレイル」など紹介

  • 2014年10月1日

環境省自然環境局国立公園課課長補佐の長田啓氏 環境省自然環境局国立公園課課長補佐の長田啓氏は9月26日、ツーリズムEXPOジャパン2014のセミナー「環境省の挑戦」で、国立公園などの自然環境を活用した旅行商品の造成をアピールした。さらに、旅行商品の素材としてプロジェクトを進めている「みちのく潮風トレイル」や「トキの野生復帰」を提案した。

 長田氏は「日本の国立公園は、スケール感はないが何度も足を運びたくなるような奥深さがある」とコメント。「自然と深く触れることのできる体験型、滞在型の旅行は国立公園と相性が良い」と述べ、今後は外国人観光客の増加をめざすなかで、日本に残された自然をいかに多くの旅行者に利用してもらうかが課題になるとの見方を示した。

 環境省が震災の復興支援策として開発を進める、青森県八戸市から福島県相馬市までの約700キロメートルの長距離自然歩道「みちのく潮風トレイル」については、北山崎の自然歩道やリアス式海岸などの景色、地域の人々との交流などが魅力になると説明。加えて「食の魅力と、津波などの自然の脅威を学べること」をトレイルの目玉となる「絶対に外せないもの」として強調し、食については朝市での朝食や地元の海鮮料理など、自然の脅威については岩手県にある津波記念碑などがフックになるとした。

 トレイルの利用促進策としてはスタンプラリーを実施し、一定区間を歩くことで缶バッジなどの記念品を提供する計画を示した。トレイルは現在までに八戸市から久慈市までの約100キロメートルを開通しており、2016年3月までに全路線を開通する予定。

 一方「トキの野生復帰」については、トキを日本の自然に戻すプロジェクトにより、自然環境の再生や地域の活性化をはかりたいとした。日本では1981年に野生のトキが絶滅し、1999年に中国からトキのカップルを輸入。飼育下での繁殖に取り組み、2008年には野生への放鳥を開始した。2012年には36年ぶりに非飼育下でのふ化が成功したという。

 長田氏は旅行商品の素材として、専門的な知識を持つ地元の「トキガイド」が、野生のトキの生態などについて解説するサービスなどを紹介。また、昨年3月に開設した施設「佐渡トキふれあいプラザ」では、マジックミラー越しに近くでトキを観察できることもアピールした。ただしその一方では「トキの観察は観光素材になると思うが、やり方を間違えてしまうと『佐渡に観光客はいらない』と言われてしまう」とも述べ、旅行会社には「地域の方々と連携して商品造成をしていってほしい」と要望した。