「旅行をあきらめない」ドラ息子、要介護者へ夢を届ける-ハンディネットワーク インターナショナル代表 春山哲朗氏(前編)

亡父、春山満氏の医療・介護業界革命からグッドタイム トラベルが生まれるまで

  • 2020年9月30日(水)
-「春山哲朗逃亡事件」についてお教えてください

春山 「社長の息子」という目で見られることは、十分に理解していたつもりでした。しかし、周囲の期待に応えなければ、何か実績を残さなければと焦る反面、何もできないことがストレスとなり、入社1年目、寝巻のまま飛び出して大阪の箕面から高速に乗りました。我に返ったのが舞鶴方面に向かう車の中。携帯には大量の着信が残っていました。夕方に家に電話して「死ぬつもりもないが戻るつもりもない」と伝え、父のことを知る人がいない土地に行きたい、住み込みで農業でもしたらいいのではないかと新潟を目指しました。

 2、3日北上し、黒部ダム近くの民宿に泊まっていた時のことです。飲み屋でおかみさんに話を聞いてもらい、初めて自分を自分として見てもらえたと感じました。翌日、昼食を食べながらまた我に返り、突然、自分が間違っていたことに気付きました。人がどう言おうが、自分が何をしようが、私が春山満の息子であるという事実は変えられない。自分がどう世の中を見るかですべては変わるのだと理解し、帰ることを決めました。出戻り組ですよ(笑)。

 「2代目」といわれる人が最も悩むのは創業者とのギャップではないかと思いますが、創業者と2代目はそもそも役割が違います。私は一度飛び出したことで会社をより好きになり、これからやっていく覚悟ができました。それから2年後、今後の会社の方向性に関する話題が出た際、父に会社を引き継ぐことを告げて取締役に就任し、経営について学び始めました。

-事業継承後、旅行事業を始めたのは何故ですか?
ハワイ旅行ではクルーザーにも

春山 父が亡くなった後、父との思い出で必ず挙がるのが旅行の話でした。楽しい思い出というのは強烈に心に刻まれるのだという思いがあり、「そういえば、介護をされながらする旅行という話は聞かないな」と思ったのが、旅行事業を始めた原点です。
 要介護や末期癌といった方の旅行はどうなっているのか、まずは厚労省や観光庁が発表しているデータを調べました。「リタイア後に何がしたいか」という質問に対し、65歳~70歳では7割以上が「夫婦や友達同士で旅行に行きたい」と回答し、実際に旅行に行った方も同程度の割合でした。一方70歳~75歳では、「旅行に行きたい」という回答は変わらず7割以上なのに対し、実際に旅行に行ったのは3割程度。旅行は年齢で制限されるものなのかという疑問が生まれました。

 現代では70歳はまだまだ元気な年齢ですが、以前より疲れやすくなったなど、身体的な不安を覚え始める時期でもあります。すると旅行が遠のいていく。ならその不安さえ取り除くことができれば、抑圧された需要が爆発するのではないか。
 アクティブシニアの旅行は既に存在しているので、我々は要介護度の高い方とその家族の旅行にターゲットを絞ることにしました。普通の旅行会社では要介護者の手配は敬遠され、やり取りの中で家族が疲弊し、旅行をあきらめてしまうケースも多い。でも私は要介護度5の父の例を知っています。父は年3回の旅行で、国内だけでなくヨーロッパなどの海外にも行っていました。

 私が最もやりたかったのは、個人旅行よりも家族旅行を叶えてもらうことでした。要介護者の方は日本に何千万人もいて、その3、4倍の人数の家族がいます。家族旅行なら、ご本人が亡くなった後、私自身がそうであったように、「あの時旅行に行けてよかったね」と家族で話をすることもできる。家族を支えるサービスになり得る。介護の世界に新しい付加価値を与えるサービス業という位置づけを作りたいと考え、「あきらめていた『家族旅行』を、もう一度」のスローガンの下、グッドタイム トラベルの事業をスタートしました。

※後編は近日中に掲載します

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