JTB山北新社長にインタビュー、コロナ禍でソリューション事業尖鋭化へ

元欧州本社代表、スピード感や多様性を重視
未来は「デジタル先進企業」プラス「人財力」で

  • 2020年6月30日(火)
-今回のコロナ禍は、近年強化しているソリューション事業にどう影響しますか

山北氏 山北 ソリューション事業については、むしろ構造改革の一環として尖鋭化させる。JTBは108年に及ぶ歴史のなかで、チケット代売に始まったビジネスを総合旅行業にまで発展させ、顧客を個人客から法人や自治体へと拡大してきた。このステークホルダーの広がりこそがJTBの強みで、そこに課題解決の軸を作り、ソリューションを提供していくのが構造改革の考え方だ。JTBがこの30年間に渡ってソリューション型ビジネスへとシフトしてきた流れを変えることはない。

 例えば今回のコロナ禍においては、ある法人顧客のメーカーが商品見本市の開催を見送らねばならないと打ち明けてきたので、「バーチャル見本市」の開催を提案したところ採用された。顧客には開催結果に満足していただけたので、結果的に成功したと言えるが、これは単に「新たなアイデアが成功した」という事例ではないと思う。

 これは、先ほど説明したステークホルダーの広がりのなかで、JTBがそれぞれと信頼関係を築き、個々のソリューションの解決に当たってきたからこそ、提案を受け入れていただけた事例だ。この見本市に関して、顧客がどのようなねらいを定め、何を得たかったのかを理解していなければ、成功はできなかった。

 このバーチャル見本市は、あるテック企業と協力して開催したが、顧客がそのテック企業と直接交渉して開催することもできたと思う。しかし「自社の開催目的を良く知っているJTBなら、適切なテック企業と組んでくれるだろう」という信頼感があるからこそ、提案を受け入れていただけた。このような信頼の積み重ねが存在することは、将来のソリューション事業に大きな可能性を感じられる要因の1つだ。

-昨年までの10数年におよぶ欧州駐在から、どのようなことを学ばれましたか

山北 欧州での在任中にもテロ事件や火山の噴火、感染症の流行など、毎年のように何かが起きていたが、そのような環境変化に対応するスピード感が、日本とは全く違うと感じていた。欧州では観光が「産業」として深く社会に根付いており、政府も業界も動きが迅速だ。

 また、スピード感以外にも学ぶところは多い。欧州はツーリズムの発祥地だけに、その産業は奥深く、業態も多様性に富んでいる。オランダでOTAの代表格であるBooking.comが生まれるなど、欧州にはイノベーションの土壌もあり、この10年間で大きく変化している。欧州では世界中の旅行者を相手にし、対応するための組織やサービスを学ぶことができた。

 多様性という点では、そもそも欧州こそが多様な国々の集合体であり、各国も多様な移民を受け入れることで多様化している。日本の企業も多様性を受け入れる環境を作り、その上で意思決定をしていける体制を整える必要がある。顧客に対する意識も、単一のマーケットに向けたものではなく、幅広く世界に向けたものへと変えていきたい。

 現在は訪日旅行需要がゼロになっているので、業界内では「国内旅行主体でも生きていける」「オーバーツーリズムにつながる外国人旅行者はいらないのでは」といった内向きの呟きも聞こえてくる。しかし、我々こそが観光産業を引っ張る意識を持ち、多様な客層を受け入れるためのインフラを整えることが重要なのではないか。いずれ政府が再び外国人旅行者に門戸を開く時が来たら、我々がリードして彼らを安全に受け入れられる形を作っておくべきだ。

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