4月に「三越伊勢丹ニッコウトラベル」誕生、合併後の戦略は

ニッコウのノウハウ活かし事業強化へ
富裕層市場でトップシェア獲得めざす

古川氏  三越伊勢丹ホールディングス傘下の三越伊勢丹旅行とニッコウトラベルは今年の4月1日付けで合併し、新会社「三越伊勢丹ニッコウトラベル」としてスタートする。シニア向けの海外旅行に強いニッコウトラベルと、富裕層向けの国内旅行に強い三越伊勢丹旅行が一体化し、企画から添乗までを自社スタッフが担うニッコウトラベルのノウハウを迅速に三越伊勢丹旅行のスタッフに浸透させることで、独自性と質の高い企画旅行商品のさらなる提供拡大に取り組む。

 新会社の社長には、ホテルオークラで30年近くキャリアを積んだのち、2010年にニッコウトラベルに入社して12年から代表取締役を務めている古川哲也氏が就任する。昨年4月以降は、合併に向け三越伊勢丹旅行の代表取締役社長も兼務している古川氏に、これまでの経緯や合併後のビジョンについて聞いた。

-4月に合併を迎えますが、まずはこれまでの経緯について振り返ってください

古川哲也氏(以下敬称略) 三越伊勢丹HDの完全子会社として、旅行専門子会社の三越伊勢丹旅行が設立されたのが2015年。それまでは「三越伊勢丹旅行営業部」が三越の顧客に、JTBと伊勢丹の合弁会社の「JTB伊勢丹トラベル」が伊勢丹の顧客にそれぞれ旅行商品を販売してきた。両社を母体にしてできた三越伊勢丹旅行は、百貨店のお客様にご満足いただけるサービスを提供する1部門といった意味合いが強かった。

 ニッコウトラベルが三越伊勢丹HDの完全子会社となったのは17年で、背景には事業存続の問題があった。ニッコウトラベルのブランドを継続していくためには、将来に向けてしっかりと地に足をつけたビジネスを続ける必要があったので、三越伊勢丹HDのグループ会社となった。優良顧客を抱えている三越伊勢丹HDの存在は、ニッコウトラベルにとっても大きかった。

-三越伊勢丹HDにおける旅行事業の位置づけは、どのように変化しているのでしょうか

古川 三越伊勢丹グループは時代の変化に即し、新しい顧客体験を提供するためのビジネスモデルの革新に取り組んでいる。体験を提供するという意味でも、今後旅行事業に関しては、グループ内での注目度が高まるのではないかと期待している。