トップインタビュー:東医大・渡航者医療センターの濱田篤郎氏

日本人を感染症から守るために
旅行業界の協力が必要だ

  • 2016年7月12日(火)

-今後は外国人旅行者が日本に感染症を持ち込む可能性も増えるはずですが、旅行業界にできる対応はありますか

濱田 政府は20年に年間訪日外国人旅行者数を4000万人に、30年に6000万人に引き上げる目標を示しているが、実際にそうなれば、感染症が日本に入り込む可能性も現在の2倍や3倍になる。14年の国内におけるデング熱の流行については、日本人が持ち込んだのか外国人が持ち込んだのかは分からないが、いずれにせよ世界中の人間が大量かつ高速に移動する時代になったからこそ、あのような事案が発生したのではないかと思う。

 今後も世界的な人流の加速は止まらず、感染症を水際作戦だけで防ぐことは難しくなる。いくら空港などに検疫所があっても、病原菌やウイルスの潜伏期間中であれば発見は難しい。米国や英国などは単に感染者を発見するのではなく、入国させてしまったとしても、その後に流行させない環境を作っている。

 行政や国民が協力して蚊の繁殖を防ぎ、昭和40年代までに日本脳炎などをほぼ撲滅したように、環境面の整備を進める必要がある。また、咳やくしゃみなどで飛沫感染する病気については、全国民にうがいや手洗いなどを習慣づけなくてはいけない。そのためには、旅行業界の協力も必要になる。


日本の渡航医学の将来の展望についてお聞かせください

濱田 渡航医学は「予防医学」であり、健康保険が適用されないことが普及の妨げになっている。自費負担のままでは、一般の旅行者が渡航前にトラベルクリニックに相談する気運は醸成されないし、一般の開業医もなかなか手が出しにくい。普及のためには制度面における環境整備が必要になると思う。

 一方で、旅行前に薬局やドラッグストアを訪れる人は多い。渡航医学に明るい薬剤師を増やし、トラベルクリニックならぬ「トラベルファーマシー」を増やして旅行者に情報提供し、そこからトラベルクリニックへと導く流れを作れないかと考えている。そのような窓口の役目は薬局だけでなく、旅行会社などが務めてもいい。さまざまな形で旅行者を啓発し、渡航医学の活用につなげたいと思う。

 「トラベル」という言葉は「トラブル」などと語源が同じで、本来はリスクや苦痛が伴う。今日では交通機関の発達などにより、楽しく楽なものへと変貌してきたが、今でもその裏にはさまざまなリスクが潜んでいる。楽しむためには適切な対応を取ることが大事だということを、医学の側から国民に伝えていきたい。そのためには旅行業界の協力が必要だ。

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