travelvision complimentary
旅行業・観光業DX・IT化支援サービス

スペシャリスト・インタビュー:ガリバーズ・トラベル 萬愛子さん

テーマを絞ることでバリエーションが広がる
現地と旅行会社をつなぎ、その魅力と売り上げを伸ばしたい


 高校時代と大学時代の語学留学で、すっかりニュージーランドが大好きになった萬さん。「旅行業界への道筋をつけてくれた」思い入れのあるデスティネーションといいます。DSを受講したのも、好きな場所であることが理由の1つ。日頃からニュージーランドツアーの地上手配をされていますが、DSを通して行ってみたい場所が増え、さらに魅力が高まったようです。

ガリバーズ・トラベル・エージェンシー株式会社
 団体旅行本部 東京オペレーション部 手配課 
 オペレーション  萬 愛子さん
 2008年度(第4回) デスティネーション・スペシャリスト ニュージーランド認定



Q.現在の業務内容を教えてください

 私はワールドワイドセクションに所属し、オセアニアや中国、アジア、南北アメリカなど世界各国の地上手配を担当しています。弊社はヨーロッパのイメージが強いのですが、DSを取得することでヨーロッパに限らず、各国を手配しているアピールになればとも思いました。

Q.反響はいかがですか

 ニュージーランド政府観光局さんの「テパパ通信」にDSとして名前を掲載していただき、旅行会社の方々のほか、現地のサプライヤーからも連絡を頂きました。認定を受けたことで今まで以上につながりが強まったことがうれしかったです。

 DSでは養成講座の受講を通し、普段は手配していない方面の知識が増え、その魅力を知ることができました。私自身がツアーの企画や一般消費者へ説明をする機会はありませんが、多くの方に日本にはまだ紹介されていない良さがあることを知っていただければと思います。

Q.例えば、どういう場所がおすすめですか

 ニュージーランドの魅力のひとつといえば自然。自然を楽しむ場所やアクティビティは豊富にあります。トレッキングの場合、ミルフォード・トラックがメジャーですが、もっと気軽に楽しむことができる場所もあります。例えば、オークランドから車で30分ほどにある「ワイタケレ・ウォーク」で、巨木で有名なカウリの森でのトレッキングができます。このほか、北島にもさまざまな観光スポットがありますが、実は南島に比べてツアーに組み込まれていません。逆に言うと、新デスティネーションとしておすすめです。

Q.なぜ北島のツアーが少ないのでしょうか

 旅行期間との兼ね合いが大きく、ツアーの平均日数は8日間から10日間が多いのですが、ニュージーランドは素材が豊富なうえ、各地域への移動に時間がかかります。また、日本人がイメージするニュージーランドらしさは南島に多いのだと思います。ツアーに欠かせないクライストチャーチとクイーンズタウンの移動には陸路で1日かかります。ぜひ行ってもらいたいと思う観光スポットを全て入れ込むと、南島だけでも1ヶ月間の旅行でも難しいかもしれないくらい。そのダイジェストを8日間のツアーにすると南島だけで精一杯です。それが今、ニュージーランドでの売れているツアーになっています。

Q.ニュージーランドへの日本人訪問者数が減少しています。航空座席の関係もあると思いますが、どう捉えていらっしゃいますか

 訪問者数が減っているのは、ニュージーランドに素敵なところがたくさんあると知っているだけに、残念です。ただ、減少していることは、きちんとデータを調べなくてはいけませんが、リピート率が低いのではないでしょうか。1度行った人が再訪したくなるデスティネーションであれば、減少率が少なくなると思うのです。

 ニュージーランドは全体を大きく楽しむツアーが多いですから、2回目以降の方にはポイントを絞ったツアーも可能性があるのでは。私なら、自分がトレッキングが大好きなものですから、テーマをトレッキングに絞り、提案したいですね。

 南島の北端のクイーン・シャーロット半島沿いに「クイーン・シャーロット・トレイル」があります。スタート地点までボートで行き、71キロの行程を数日かけて歩くというトレイルです。途中のホテルまでは荷物をボートで運んでくれ、食材などの運搬、仕入れもしやすく、宿では新鮮なシーフード料理が楽しめます。しかも有名なワインの生産地ですから、美味しいワインも豊富。このトレイルはまだツアーで手配したことはありませんが、DSで知った場所で、私もいつか行ってみたいと思っています。

 ニュージーランドでは、環境保全省の管理下で人数制限がされている箇所もあるため、大型団体には難しいと思いますが、トレッキング好きのシニア層や、日本の屋久島で森の魅力を感じた事のある方には、きっと喜ばれるでしょう。興味が近い人同士が行くことで、共感が沸いて満足度が上がり、次の旅行も行きたくなりますよね。

Q.今後の抱負を教えてください

 ツアーコストを考えると大人数にしないと利益が難しいかもしれないのですが、人数を制限してもっと感動を分かちあえるようなツアーがあってもいいと思います。さまざまな場所へ、それぞれの切り口が異なる旅行といった、ツアーのバリエーションが広がったら…と思います。

 そのためには、現地の情報が必要で、DSのような制度で勉強することは有効でしょう。また、現地側からも情報を発信できればいいと思います。弊社では現地のスタッフがさまざまな情報をホームページで案内していますので、こうした情報を多用していただければと思います。現地と協力して、旅行会社の売り上げだけでなく、旅行の魅力を伸ばしていけたらいいなと思っています。


ありがとうございました


<過去のスペシャリスト・インタビューはこちら>