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スペシャリスト・インタビュー:南海国際旅行 東京支店 佐久間俊也さん

店舗の独自性は販売スタッフが作る
旅のワクワク感を伝え、選ばれる旅行会社に


25年のキャリアで、航空券の発券から企画、法人営業などさまざまな業務を経験された佐久間さん。さまざまなアイディアを考え、南海トラベルサロンの店長をされていた時に差別化をはかるため、店舗スタッフとおすすめツアーの紹介を兼ねてポスターやホームページでの案内を作成するなど、積極的にスタッフのアピールに取り組んだそうです。DSの取得もその一環だそうですが、これまでの工夫について佐久間さんにうかがいました。


株式会社南海国際旅行
 東京支店 営業グループ マネージャー 佐久間俊也さん
 2006年度(第3回)デスティネーション・スペシャリスト イタリア・マルタ認定


Q.店舗の特徴づけの一つとしてDSを利用したのですね

 南海トラベルサロン「海外気ままデスク」は、弊社がリテール展開する5店舗のうち、唯一の海外旅行専門店です。なんとか強みをアピールしたかったのですが、販売する旅行商品は他社と同じ。そこで店の個性を出すために、商品を売るスタッフを特徴付けることだと思いました。私自身、DSの前にレイルヨーロッパのレイルエキスパートを取得し、手ごたえを感じており、社内回覧でDSの募集を知ったときに他のスタッフにも声をかけ、2人で受講したのです。

 私は認定を得た年に現在の法人営業の部署に異動になりましたが、そのスタッフはいまも同店で勤務しており、2007年度で3つめの講座を受けています。DSのような旅行に関連した資格はもちろん、生け花や茶道など趣味や勉学的な資格でもいい。そこからお客様との話が膨らみ、企画にも活かされると思います。

Q.法人営業に異動されても、御社ホームページ上で「DSおすすめツアー」を企画されましたね

 せっかく取得したのでもっとアピールしたいと思い、会社に提案しました。本当は有資格者のスタッフを紹介するページを別に設け、そこにスペシャリストが勧めるツアーをコメントと一緒に掲載したかったのですが、現在はイタリアツアーのページに「DSおすすめツアー」としてイタリアとマルタの3つのツアーを掲載しています。

 ツアーのポイントは、自由度を高めたこと。私は旅の醍醐味を体験できるオリジナルの旅行を提案したいので、空港送迎や旅程中のドライバーなどは組み込んでいますが、自由行動を多くとり、要望にあわせて現地オプショナルを追加できる形にしたのです。ですからツアーに関する問合せは私が担当しています。夫婦や女性グループのリピーターの利用が多く、好きなところに安心して行けるのが好評だったようです。

 DSお薦めイタリア個人旅行 (南海国際旅行)

Q.なぜ個人旅行を勧めていらっしゃるのですか

 海外旅行専門店だからか、その当時は添乗員付きのパッケージツアーに満足できないお客様が多かったのです。それを少しでも満足の高い旅行を提供したいという方針から、個人旅行の強い店をめざしていました。そのため、不安を取り除くことが大前提で、スタッフにもこの点には注意していました。「DSおすすめツアー」でも、現地のドライバーは日本語を話せないが名前を書いた案内板を持って空港で待っていてくれること、日程表を渡すだけで案内してくれることなど、丁寧な案内は欠かしません。

Q.イタリア旅行の場合、どのように旅行相談を進めるのですか

 イタリアは大都市以外の小さな都市にも魅力があります。日本ではミラノ、ヴェネチア、フィレンツェ、ローマの4都市が人気で、そこを希望する方が多いですが、その移動の途中に立ち寄れる都市も組み込んでいきます。たとえば、フィレンツェやミラノからヴェネチアに移動する間にあるボローニャは、大きな柱廊アーケード街「ポルティコ」や斜塔などが有名な、中世の街並みの美しい場所。グルメの街としても知られています。もし1日、2日の滞在ができるなら、ボローニャから列車で1時間ほどにあるアドリア海沿いのリゾート地リミニに行けます。ここはサン・マリノへの起点でもあり、さらに時間があれば…と、どんどん小旅行が発生しますよね。

 特にイタリアは鉄道が発達し、食事も日本人に合う。買い物も充実し、個人旅行には最適なデスティネーション。ただ、最近はユーロの物価高となり、食事と買い物のメリットが減ったので、売り方に工夫も必要でしょう。

Q.新しい取り組みの予定があるのですか

 弊社は法人営業の特に出張手配と視察旅行に強みを持っているのですが、以前からのお客様である外食関係の専門学校が実施していたカフェの視察ツアーをリニューアルし、一般消費者にも募集するツアーを発売します。団体向けの視察旅行を募集型企画旅行に替えて一般に出すのは初めての試みです。

 数年前、ローマにオープンした、レストランやカフェ、調理学校、食器や調理器具の店、ワインセラーなど食に関わる多数の施設が入居する複合施設「チッタ・デル・クスト」のほか、アグリツーリズモでの実習やモッツアレラ工場の視察、伝統のスイーツ店を訪問するなど、普段のツアーでは訪れない場所が含まれているのがポイントです。

Q.今までの旅行業務のなかで、印象深い思い出と今後の目標があったらお聞かせください

 店舗にいた頃、スイスとイタリアを旅行したハネムーナーに了解を得て写真をもらい、その日程表をポスター大の大きさで作成し、店舗のガラス面に貼って外から見えるように掲出したことがあります。快くOKしてもらったのはうれしかったです。また、帰国後の感想をうかがうのも楽しみですが、一度、お客様が旅行途中のカプリ島から絵葉書を送っていただいたことがあります。旅行中の忙しい時間を使って送ってくれたのが、本当にうれしかった。

 私は旅行業で働く上で、人と人とのかかわりを大切にしていきたいと思っています。特にインターネットで完結せず、弊社を選んでいただくためにはどうすればいいか、考えていかなくてはいけません。だから、旅の楽しさを店に入ったときから分かるような、ワクワク感を伝えていきたい。これは法人営業でもそうだと思います。チケットを渡すだけでなく、お客様が帰国されたとき、「おかげで良い商談ができた」などというお話が聞けるような、何か付加価値を付けた仕事ができないかと考えています。

ありがとうございました。


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