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スペシャリスト・インタビュー:JTB首都圏 新宿西口支店 笈川英さん

お客様は店頭に“人のふれあい”を求めている

全69名のスタッフが所属するジェイティービーの新宿西口支店。同支店の海外店頭営業課長として同課の8名のスタッフを率いる笈川さんがDSスペイン・ポルトガルに挑戦された理由は、「この方面が好きだから」とのことです。スペインが初めての添乗の地で思い入れが強まったからなのですが、そこで笈川さんはパッケージツアーの良さを実感する貴重な体験をされたそうです。お話をうかがいました。

株式会社JTB首都圏  
 新宿西口支店 海外店頭営業課長 笈川 英さん 
 2006年度(第3回)デスティネーション・スペシャリスト スペイン・ポルトガル認定


Q.スペインが最初の添乗とのことですが、そのとき感じた印象は

 1990年のことでしたので、1992年のコロンブスの大陸発見500年記念、バルセロナオリンピック、セビリア万国博覧会に向け、盛り上がっていた時期。スペイン国内の勢いを感じたことが、第一印象です。

 また、ガイドの効果を実感した旅行でもありました。実は学生の頃にヨーロッパ鉄道旅行でスペインを訪れた経験があります。ただ、その時と添乗の時ではまったく印象が違いました。どちらの旅行でもプラド美術館に行ったのですが、ガイドの説明は興味深く、奥深さを感じました。また、現地に詳しい人がいるといないでは安心感が違います。この現場を見て、ガイド同行のある添乗員付きツアーのよさが確認でき、販売する自信にもなりました。

 それから、実はこの添乗で重大な経験をしました。空港に1名、お客様を置いてホテルに向かってしまったという大失敗で、そのときの切羽詰った気持ちは忘れられません。急いでタクシーで迎えに行き、お詫びして…。ただ、たまたま旅行が視察旅行で慣れていた方だったということもあり、これをきっかけに参加者の方に「大丈夫?」「全員揃った?」などと声をかけていただき、逆に親しくなりました。このことも、この添乗を印象付けた出来事でもあります。

Q.DSの感想を教えてください

 内容は広範囲で、けっこう難しかった(笑)。政府観光局のガイドブックに載っていない内容や食べ物、ワインの銘柄などの嗜好的な分野まで多岐にわたり、養成講座の復習テストを繰り返して覚えていきました。お客様とお話をする販売としては、どんな情報も無駄なものはありません。資格は好きだから受講するもので、やらされるものではありません。自分で積極的に得たものが、お客様に伝わると思います。

Q.笈川さんにとってのスペインの魅力はなんでしょうか

 そうですね。ひとくちに言い切れませんが、例えばアンダルシアの各所で見られる一面のひまわり畑、あの風景は忘れられません。それから、食事が日本人の口に合いますね。バルのタパスを味わってはしごするのも楽しみ。私はイベリコ豚のメニューが好きですが、やっぱり現地でも一目置かれて値段も高いですよ。アルコール類が安く、ビールが自動販売機でジュース類と同じ価格で売っていたほど。お酒好きの人にもお勧めですね。

 もし、時間が取れてスペイン旅行ができるなら、私は迷わずマドリッドに行きたい。プラド美術館が好きなのでじっくり回りたいですし、トレドで宿泊して駆け足でない観光も楽しみたい。5日間、モノステイしても飽きずに楽しめる、それくらい魅力がある場所です。

Q.旅行先としてのスペインの特徴と、お客様にお勧めする際のポイントは

 スペイン旅行を選ぶお客様は既にヨーロッパ旅行を経験した方が多く、それでもはまってリピートする傾向にあります。つまり、他の素晴らしい旅行を経験した人を惹きつける強い魅力があるのだと思います。世界的に有名な世界遺産も多く、切り口も多様。スペインをあまり考えていなかった人にも勧めやすいデスティネーションです。

 今は行きたいツアーが決まっている場合、インターネットで申し込めますから、店頭に来店するお客様は自分にとっての“いいもの”を探していると思います。ですから、お客様の気持ちになって、どんなことも丁寧に対応するようにしています。例えば、業界では当然のことでも、一般の人は例えばスペインまで直行便がないことなど知りません。そのとき「行きにくい」ではなく、「乗継の便が良く、他の都市で休憩できる」と、プラスのことも伝えていくことが大切。われわれの支店のスタッフは、それを実践していると思います。

Q.笈川さんにとって、旅行の仕事の魅力はなんでしょうか

 やっぱり、お客様に喜んでいただけることに尽きます。特にお客様は市場での買物や食事などで現地の人とふれあったことが印象に残るようで、楽しそうにお話されます。「お帰りなさいコール」の電話で、そういう思い出話をうかがうのも楽しみ。お客様は「こんなに楽しかった」ということを誰かに伝えたいのです。

 対面販売はお客様と長いお付き合いができることが強み。定期的にパンフレットを送り、お客様が気に入るようなツアーが発売されたらお電話して「こんにちは。今年はこんなツアーがあります」とお話しすれば、お客様が私たちとのふれあいを求めていることが良く分かります。今の時代ですから、私はスタッフに10名から20名くらい、そういうお客様を持つようにと伝えています。そのためには一見さんをいかに大切にするかが重要ですよね。ゆくゆくは各スタッフがそれぞれの強みを発揮でき、お客様との触れ合いを重視した支店を実現させたいと思っています。

ありがとうございました。


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