スペシャリスト・インタビュー:ジャスベル洛南店店長・熊谷佳代さん

店頭の勝負は「接客力+知識=販売力」が決める
「好き」を「形」にし、自分の強みへ


 入社5年半で店長の重責を担う熊谷さん。はつらつとした受け答えの中に、芯の強さと自信がうかがえたのが印象的です。店内業務全般を経験し、店長となった現在も旅行の知識の蓄積にも意欲的。特に、熊谷さんは学生時代にドイツ語を専攻し、留学を経験するなど、ドイツ語圏は得意方面の一つです。お話をうかがいました。

ジャスベル株式会社 洛南店 
店長 熊谷佳代さん
 2006年度(第3回)デスティネーション・スペシャリスト ドイツ認定


Q.DSを受講したきっかけと感想を教えてください

 ドイツでの短期留学や隣国のオーストリアでの留学経験があり、ドイツ語圏の文化に興味があり、勉強したいと思っていたので、DSは「好き」を資格という「形」にでき、自分の強みになる制度だと思いました。また、当店では国内のシェアが高いのですが、海外ではハワイ、ミクロネシア、アジア、韓国など近場が多く、遠距離のヨーロッパは獲得していきたい方面。私が認定を取得することで、スタッフのヨーロッパに対する旅行の知識の水準が上がれば、とも思いました。今では私が自信を持って接客している姿を見て、学び取ってくれたようです。以前より、ドイツに対して興味を持ってくれました。

Q.業務中にDSの効果を感じたことはありますか

 直接の効果とは違うかもしれませんが、来店当初イタリア旅行を希望して来店したお客様が、ロマンチック街道の旅行を選ばれたことがあります。お話をうかがうと、お客様のイメージする旅行はドイツの方があっていると思ったから、いろいろな方面を提案した上でお勧めしたのです。認定を受けてから2ヶ月後だったので記憶が新鮮で、説明に説得力があったのも決め手になったようです。帰国後には来店して、「前もってイメージが沸き、安心して旅行が出来た」とおっしゃっていただけたのが、うれしかったですね。

 Q.熊谷さんにとって、ドイツの魅力は何ですか

 発展した街の中にも緑の自然や歴史的な建物もあり、散策するだけで楽しい。わざわざお金をかけなくても十分楽しめるデスティネーションだと思います。留学中の長期休暇で、1ヶ月のレイルパスを購入して鉄道旅行をしましたが、観光で名が知られていない小さな村に降りても、それなりの魅力がありました。

 それから、ドイツはもともと都市国家の集まりですから、各都市や村の個性があります。地域によっても異なり、私には古城街道の街マンハイムと、やや北寄りのドルトムント郊外にホストファミリーがいますが、文化はもちろん、話し方も気質も違う。ドイツ南部はアルプスの東側でスイスの牧歌的な感じですが、ドルトムントの属するノルトライン=ヴェストファーレン州はオランダに隣接しており、風車もあって、言葉にもオランダ風のなまりがあります。その違いを体験しに周遊するのも楽しいですよね。それからドイツ人は親切で、治安的に安心できるのもポイントです。

Q.お勧めするドイツ旅行を教えてください

 ドイツというとロマンチック街道ばかりが注目されがちですが、実際には小さなものも含めてドイツには150以上の街道があると言われています。中でも南西部を縦断する「ファンタスティック街道」は、黒い森の美しい自然も楽しめますし、バーデンバーデンで西洋式の温泉も満喫できてお薦め。ヘルマンヘッセゆかりのカルフという街をはじめとして、美しい小さな街が点在しているのも特徴的です。

 ドイツの木のおもちゃといえば、チェコ国境線のエルツ山地のザイフェン村が有名ですが、ほかにも日本でも有名なテディベアのシュタイフ社や鉄道模型のメルクリンなど有名なドイツ製のおもちゃはたくさんあります。これらの会社の本社がこのファンタスティック街道からアクセスも良く、こうした文化的な見どころも豊富。とても多角的な魅力を持った観光街道だと思います。

Q.店頭での業務から、旅行業界をどのように感じていますか

 インターネット販売に押されているという感じは受けます。インターネットで情報を得やすく、手配も速い。それなのに店に来てもらえるのは、スタッフと相談したいから。ですから、接客力が販売力で、今後のカギだと思います。

 ですから、店頭スタッフは国内から海外まで、一定の基準までは物知りでなくてはならないと思っています。さらに自信がある部分を加えなければ、ネット販売や他店との差別化が出来ず、今後の勝負はできないと思います。私もドイツに限らず、ハンガリーやチェコのほか、DS以外でもオーストリアなど各観光局の資格取得に積極的に取り組みたいと思っています。

Q.多忙な業務の中、どのように知識を習得されていますか

私の場合、ドイツ語の勉強も兼ねて、現地で販売されているガイドブックを取り寄せています。現地の目線で書かれているので、その違いも勉強になり、日本のガイドブックではカバーしきれない小都市の魅力をもっと伝えられればと思っています。

 また、店舗ではミーティングで知識を共有するよう、努めています。スタッフの学習意欲は強く、プライベートの旅行でもその様子をレポートのような形で回覧したり、最新情報があれば報告するなど、モチベーションの高い環境にあると思います。

ありがとうございました。


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