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スペシャリスト・インタビュー 日本通運株式会社 桜井由紀さん

ケアンズで熟年向け添乗員同行ツアーを催行

入社15年目の桜井さんは今年10月に現在の部署に異動するまで、オセアニア・南太平洋方面のオペレーションと企画を担当されていた同方面のエキスパート。特にオーストラリアには40回以上の渡航経験を持ち、好きな国の1つとおっしゃいます。長年、同じ方面を携わったからこそ旅行形態の変遷を実感でき、それを覆すツアー造成にも成功されたそうです。お話を伺いました。

日本通運株式会社 東京旅行支店 営業統括部
旅のソムリエ企画販売課 係長 桜井由紀さん
 2005年度(第2回)デスティネーション・スペシャリスト オーストラリア認定


Q.ケアンズでのシニア向けツアーを作ったきっかけは何だったのでしょうか

私が入社した頃のオーストラリア旅行は、ゴールドコーストでコアラ、メルボルンでペンギンを見て、シドニーで市街観光する添乗員同行コースが売れていました。その後、徐々に2名催行のフリースタイル型のツアーが主流になり、約7割はケアンズのフリースタイルツアーになったと思います。この状況を逆手に新しい企画を出してみようと、自分なりに分析をはじめました。それが1999年のことです。

この頃、ケアンズといえばハネムーナーがメイン客層と思われていましたが、現地をよく見ると熟年層も多いことに気がつきました。そこで、熟年層をターゲットにしたツアー「海の見える部屋に泊まる充実のケアンズ5日間」を設定したのです。半日の市街観光とキュランダ、グリーン島を組み込んだ5日間のツアーで、ホリディインのオーシャンフロントを指定し商品化。当時はオーストラリアで1都市に滞在し、内容を充実させたコースはありませんでしたが、出してみると意外に反応がよかった。

Q.時代背景を見ると、かなりの挑戦だったのではないですか

もともと弊社は海外旅行のパイオニア的な存在という自負があり、新しいことに取り組む気風があります。それに加え、ケアンズの企画に関してはサプライヤーなど、オーストラリアの関係者にサポートしてもらったところも大きかった。日本側も現地側も、オーストラリア旅行を盛りあげようという意識が高く、現地の関係者が来日し、意見を交換する機会も多い。こういう連帯感があると企画の趣旨を説明し、内容の相談することもでき、新しい旅行も作りやすいですよね。

Q.おすすめのオーストラリア旅行を教えてください

オーストラリアを旅行したいけれど、どこに行けばよいか迷う人には、やっぱりエアーズロックをすすめます。あの景色と登った時の爽快感は、ぜひ実際に体験していただきたいと思います。風と気温によっては登頂できないので、滞在は2泊が良いと思いますが、昼や夜など、その時々で雰囲気が異なるさまざまな姿を、見て感じてもらえればと思います。

でも、私はオーストラリアの真髄は「人」にあると思います。人と交流することが、オーストラリアで体験できる醍醐味。現地の人と親しくなることで、旅行の印象が変わると思います。とはいえ、旅行中に知り合いを作るのは難しいですから、オプショナルツアーやアクティビティに参加し、現地のガイドや係員と話す機会を作って欲しい。とてもフレンドリーで、決められたスケジュールをこなすのではなく、本当に楽しんでもらえることを意識していることがよく分かります。

Q.今後のオーストラリアで、何が注目ですか

東海岸のデスティネーションは開発が進んだので、今後はノーザンテリトリーや西オーストラリア、タスマニアあたりに注目しています。現在、オーストラリア政府観光局が16分の1の世界遺産を取り上げていており、これは消費者の目を他の地域に向かせるいいきっかけになると期待しています。

いままで40回くらいオーストラリアを訪れていますが、行く度に新しい発見があります。それをいかにうまく消費者に伝えるかが、われわれの役割。もちろん私自身、行ったところもない場所がまだまだありますので勉強し、新エリアもうまく紹介していきたい。これがオーストラリアでの商品造成の目標になるでしょう。

Q.今までの経験から、旅行会社の社員に必要なことは何だと思いますか

やはり現地を知ることが大前提。これがなくては何も出来ません。自分の目で確かめ、自分の足で歩いて距離を実感する。それが知識になるし、新しい発見につながります。常に新鮮な情報を得なければ、お客様にも何も説明できません。

そのためには横のパイプを作ることも大切。サプライヤーや他社とのコミュニケーションなどから情報を入手できるものもあります。そういう意味で、自分を含めてのことですが、積極的な行動が今後の旅行業界を盛りあげる上で必要なのだと思います。現地にも、セミナーにも、なかなかか出かけられない場合もあると思いますが、忙しいながらも時間を作り、情報を交換していければと思っています。

ありがとうございました。


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