ユーコンの旅行シーズンとして人気が高いのは、やはり暖かくなる5月から9月にかけて。
夏はさわやかな気候の中、ハイキングやカヌートリップなど、カナダならではのアウトドア・スポーツが楽しめるとあり、カナダ、アメリカはもちろんのこと、ヨーロッパからも多くの旅行者が訪れます。
また、秋も素晴らしい景観が楽しめる時期。
たとえばドーソン・シティから北上するデンプスター・ハイウェイでは、8月下旬から9月上旬にかけ、ドワーフ・ウィローやドワーフ・バーチなど、地面を這うツンドラの植物が黄色からオレンジへ、そして真っ赤に色を変え、鮮やかな絨毯のようにあたり一面を覆います。

またホワイトホースなど南部では、9月上旬から中旬にかけ、白樺やポプラなどの落葉樹が黄金色に染まり、見事な秋色の世界に。
この時期を狙って旅するのも、おすすめです。

ゴールドラッシュの時代に、アラスカのスキャグウェイからホワイトホースの間に敷かれた峠越えの鉄道がこれ。金を夢見て北へ向かう人々の足として生まれた、歴史的な鉄道ルートです。
現在は、5月から9月まで観光列車として運行。
車窓からは雄大な山々や、谷間を渡る古い陸橋跡なども眺められ、ゴールドラッシュ時に想いを馳せながらの旅が楽しめます。

アラスカ部分だけを楽しむコース、カナダサイドを楽しむコース、全行程を楽しむコースなど、様々なエクスカーションコースやパッケージが用意されています。

カナダからアラスカを抜けベーリング海へと注ぐ、全長3700kmのユーコン川は、世界のカヌーイストあこがれの川。ホワイトホースからは様々なタイプのカヌー・ガイドツアーが出ています。

人気は1週間ほどかけてホワイトホースからドーソン・シティまで下るロングトリップですが、ホワイトホース周辺で半日、あるいは1日程度で楽しめる手軽なツアーも少なくありません。
ガイドがパドルの扱い方から教えてくれるので、初心者でも体験可能です。

自然の中を歩くことは、ユーコンでは日常の一部。
州都のホワイトホースにもいたるところにトレイルが整備されており、風景を楽しみながら気軽なハイキングが楽しめます。
また壮大な山岳地帯を眺めながらのハイキングなら、クルアニ国立公園やテュームストーン準州立公園がおすすめ。
クルアニではヘリコプターで奥地に飛び、いきなり絶景の中を歩くヘリハイキングも体験できます。

ゴールドラッシュ時の街並みがそのまま保存されているドーソン・シティでは、往時をしのびながらの街めぐりを。
スイングドアのあるサルーンや、裁判所、宿屋と言いたくなるようなホテル、そしてカンカンショーが見られるカジノなど、まるで西部劇の世界に迷い込んだかのような錯覚を味あわせてくれます。
街外れにはかつて金を求めてこの地を訪れ、その自然体験を「野生の呼び声」などの作品に描いたジャック・ロンドンや、銀行家として赴任していた詩人ロバート・サービスの住まいも残されています。

ドーソン・シティでは砂金すくいのアトラクションも人気。
川のほとりなどで一握りの砂を平たい鍋（パン）を使って洗い流していくと、最後に小さな金のか けらが残ります。

かつての砂金採りたちの興奮がよみがえる瞬間。
見つけた金は、お土産に持ち帰ることが可能。

夏のユーコンは、アラスカクルーズとセット・デスティネーションとしても人気。スキャグウェイで上陸し、そこから鉄道体験をしたり、
あるいはチャーターバスでホワイトホースやドーソン・シティを巡ったり。ホーランド・アメリカ社などから様々なコースが出されています。

オーロラは冬のものといった印象がありますが、実は光は1年中発生しています。ただ完全に暗くならないと見えないため、日が長く夜が短い夏には見られるチャンスはあまりないのです。
8月下旬ころからは夜が十分長くなってきますので、時にオーロラを見られることも。
特にオーロラ発生率が高い場所にあるドーソン・シティでは、夜は期待を込めて空を見上げてください。