和の季節
      新春告げる八重岳の寒緋桜
                   ――沖縄県 本部町

寒緋桜(カンヒザクラ)

沖縄ならではの風景

花の開きが大きい「琉球寒緋桜」

沖縄のみかん「タンカン」

八重岳山頂まで続く桜並木
小寒を過ぎ、大寒に入る1月下旬以降は、1年の中で最も寒さが厳しい季節。

日本列島は冬の真っ只中となりますが、沖縄だけは一足早く和やかな春の景色が広がります。

沖縄に春らしい彩りを添えるのは寒緋桜(カンヒザクラ)。濃桃色から紅色の濃いピンク色の花が釣り鐘のように下向きに咲くのが特徴の、南国らしい桜です。中でも花の開きが大きい「琉球寒緋桜」は、沖縄で多く栽培され、新年に欠かせない花として、家の中に飾られます。

寒緋桜はこの時期、沖縄各地の民家の庭や軒先、野や山で見られますが、特に素晴らしいのは本部町の八重岳。標高453メートルの山頂までの約4キロの道が桜並木となり、全体で約7000本もの寒緋桜を楽しむことができます。寒緋桜が密集して咲くのは沖縄の中でも本部や名護などこの周辺だけ。そのため、この季節の八重岳は、山自体がうっすらピンク色に見えるのだとか。

桜が咲いたらお楽しみなのが“お花見”。
しかし、本州のように桜の下での宴会をするのではなく、温かい日差しを浴びてゆっくり散策しながら、それぞれの木の花を愛でるのが、沖縄流です。

八重岳のように数キロも続く桜並木の場合は、ドライブしながら車窓からの景色を楽しみます。「八重岳桜まつり」期間中は、公園に並ぶ出店で調達し、食べ物をほおばりながら行き交う人が多いのです。

さらに、沖縄のミカン「たんかん」狩りとの合わせ技を楽しむお花見も。桜の時期がちょうど収穫時期と重なるため、桜を見ながらたんかん狩りをするという一挙両得を目的に、県外からも多くの人が訪れます。

桜が散っても、寒緋桜の“お楽しみ”は終わりません。寒緋桜は花の後、実ったさくらんぼまで楽しめるのです。とはいっても、食用ではなく、泡盛に漬け込み、桜の香りを楽しみます。爽やかな桜の香りについつい、泡盛がすすみ、飲むうちに顔が紅い桜色に変わりそう。

寒緋桜は景色も、身も心も桃色に染める、沖縄の新春のシンボルなのです。


▽日本一早い桜祭り
「第28回本部八重岳桜まつり」
開催期間:1月21日〜2月12日
※21日と22日はイベントを開催。初日の「開花宣言」から始まり、桜の写真コンテストの表彰、ミス桜の発表のほか、芸能・コンサートなどショー・ステージが行なわれる。
www2.tontonme.ne.jp/users/motobu/ibento.htm
 
  参考サイト
  ▽本部町観光協会
www2.tontonme.ne.jp/users/motobu/index.htm
▽本部町役場
www.town.motobu.okinawa.jp/
和の季節 (毎月第1・3金曜更新)
第十九回 新春告げる八重岳の寒緋桜
                    ――沖縄県 本部町
2006. 1. 6掲載
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