旅館は「日本文化の体現」、地域で訪日客にアピール-EXPOから

外国人が感じる「異文化」を理解し
旅館の魅力を活かしたサービス提供を

  • 2016年10月20日(木)

シンポジウムの様子  このほど開催された「ツーリズムEXPOジャパン2016」では、「持続可能な地方誘客 ~日本旅館と地域のコラボレーション~」と題した訪日旅行シンポジウムがおこなわれた。急増する訪日外国人旅行者の需要が大都市などに集中し、地方への誘客が課題となっているなか、今年のシンポジウムでは稼働率の低さが指摘される旅館に着目。世界にアピールできる旅館の魅力のほか、旅館と地域の連携による訪日外国人旅行者の受入策などについて意見交換をおこなった。


パネリスト
ホテル祖谷温泉 代表取締役社長 植田佳宏氏
戸倉上山田温泉 亀清旅館 若旦那 リンチ・タイラー氏
JTBグローバルマーケティング&トラベル執行役員 グローバルマーケティング第一事業部長 水谷初子氏
観光文化研究所 専務取締役 井川今日子氏

モデレーター
日本政府観光局(JNTO)海外プロモーション部 特命事項担当部長 平田真幸氏


旅館は地域誘客のカギ
訪日客にもありのままの体験を提供

JNTOの平田氏  シンポジウムではまず、モデレーターを務めた日本政府観光局(JNTO)海外プロモーション部特命事項担当部長の平田真幸氏が、3月に定められた「明日の日本を支える観光ビジョン」における、2020年の訪日外国人旅行者数4000万人などの目標を改めて説明。達成に向けて地方誘客の重要性を強調するとともに、鍵は「日本文化を体現する旅館」にあるとして、その現状を報告した。

 観光庁が発表した宿泊旅行統計調査によると、8月の第1次速報値における客室稼働率は全体で前年比0.1ポイント増の69.5%だった。このうち、シティホテルは2.3ポイント減の82.6%、ビジネスホテルは0.2ポイント増の80.3%、リゾートホテルは0.1ポイント減の74.0%と、どのホテルタイプも7割またはそれ以上の稼働率で推移。一方、旅館は1.2ポイント増の51.6%だった。

亀清旅館のタイラー氏  妻の実家である戸倉上山田温泉の亀清旅館を継ぎ、若旦那となったアメリカ人のリンチ・タイラー氏は、自身が虜になった旅館の魅力を熱弁。「旅館は畳や座布団、障子から透けて見える太陽の光や月明かりなど、とてもシンプルな美しさに満ちているのが魅力。和室は洋室と違い、1つの部屋でリビングやダイニング、寝室など色々なことに使え、効率が良い。また、床の間という一見無駄に見えるスペースにも意味があり、日本の心を表していると感じる」と話した。

 また、タイラー氏は「最低限の安心感や快適さは欲しいが、必ずしもベッドを用意しないといけない訳ではない」と強調。「床で寝ることはキャンプ以外で体験したことがないし、海外ではパジャマで外出はしないが、温泉街では浴衣を来て街を散策できる。外国人にとっては旅館のすべてが“異文化”」と述べ、ありのままの体験を提供することの良さを語った。

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