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現地レポート:イタリア、ベネツィア線就航でアルプス滞在商品の可能性

  • 2014年5月15日

イタリア・アルプス、コルティナ・ダンペッツォでスローライフ
ベネツィアとの組み合わせでアピール力ある商品に

水の都から約2時間半でアルプスの懐へ

 アリタリア-イタリア航空(AZ)の成田/ベネツィア線就航で、イタリア旅行の可能性が広がった。例えば、世界遺産・ドロミテ山塊のリゾート地、コルティナ・ダンペッツォには、ベネツィアから直通バスが走り、約2時間30分でアクセス可能。アルプスでの滞在型商品が増えている中、日本でのイタリア人気やゲートウェイとなるベネツィアの魅力を考えれば、シニアはもちろん、働く世代の女性を視野に入れた滞在型商品の可能性もありそうだ。ドロミテの真珠といわれるコルティナ・ダンペッツォでは、ショッピング、グルメの魅力のほか、新しいプログラムも誕生しており、アピール力も高い。


四方にアルプスを望む渓谷のリゾート
大自然に浸る滞在

コルティナの中心部・全景。渓谷の中の町ということがよくわかる。4月末まではスキーシーズン

 木目と漆喰の壁がかわいらしい、シャレー風の建物が続く街並み。その先には、ところどころ雪をかぶった灰褐色のドロミテ山塊が取り囲む。4月初めのコルティナ・ダンペッツォ(コルティナ)は、岩山の裾野に広がる針葉樹や草原は雪が残るところが多かったが、標高1200メートルのアンペッツォ渓谷にある街中からは、四方に3000メートル級のイタリア・アルプスを望める。「ドロミテの女王」と称され、ドロミテでも随一の観光地というのもうなずける。

コルティナの目抜き通り、コルソ・イタリア。夏シーズンの様子
(C)Paola_Dandrea

 コルティナはベネツィアと同じ海に面するヴェネト州にありながら、ヨーロッパ・アルプスの山岳都市で構成する「ベスト・オブ・ジ・アルプス」(BOTA)のメンバーでもある。現在はボルツァーノなどのドロミテの他の街やチロルなどオーストリア・アルプスを組み合わせたシニア向けのハイキングツアーが主流だが、直接ベネツィアに入る路線就航を機に、水の都・ベネツィアとアルプスという2枚看板で2アップからの新商品も考えてみたい。

2013年度最後の雪を楽しむスキーヤーたち。この下ではトレイルと草花が夏シーズンの到来を待っている

 シニアはもちろん、“山ガール”という言葉が定着した女性客にも響くのではないだろうか。コルティナ・ダンペッツォ観光局のセールス&プロモーションを担当するガブリエラ・タラミーニさんによると、最近は日本人の若年層やファミリーの滞在型FITも増えているといい、新客層に向けたアピールを強化する方針だという。

コルティナの周辺には湖もあり、変化にとんだハイキングが可能。夏シーズンの様子
(C)stefanozardini.com

 夏はハイキング、冬はスキーが観光の定番で、周囲の山々には街の中心から発着する2つのロープウェイや、地域内を走るバス(季節運行)が結ぶロープウェイやリフトで簡単にアクセスできる。標高3000メートル付近の山小屋からの絶景を前に大きく空気を吸い込めば、その清冽さに心がすーっと軽くなっていく。

山の上のランチは空気や景観とともに五感で味わう新鮮な体験。現地では山小屋での結婚式・パーティも人気

 スキーヤーがシュプールを描くその下には、延べ400キロのトレイルが整備され、夏期は固有種を含め約400種以上の高山植物が顔を見せる。コースのバラエティも豊富で、上級ハイカーをうならせるものから、アクティビティとして楽しめる初心者向けのコースもあるという。

山の上でも種類は豊富。ホウレンソウのニョッキやパンをベースにチーズやナッツなどが入ったお団子、赤カブのラビオリなど伝統料理も味わえる

 例えば、その山の形から“5つの塔”と名付けられたチンクエ・トッリを望むスコヤットリ小屋(標高2225メートル)からのコースでは、次のアヴェラーウ小屋(標高2416メートル)まで40分程度で着く。山小屋でランチやドルチェを頂きながらのんびりと楽しめるルートから、専門ガイドとともに挑戦するクライミングなど本格的な登山体験が楽しめるのも、コルティナのポイントだ。

 そして、イタリア・アルプスの最大の特徴の一つに、料理のレベルもあげられる。山小屋でさえ「さすがイタリア」と思える味を楽しめるのがうれしい。山の上の澄んだ空気の中での食事は、格別の体験だ。第1次世界大戦時までオーストリアだったというコルティナはチロル地方の影響も受けており、地域ならではの伝統料理も楽しめる。「山の料理はどうか」という懸念はまったく不要である。 


>>>次はコルティナ滞在商品を可能にする体験プログラム