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現地レポート:ノルウェー(1)、オーロラ観光の拠点トロムソの楽しみ方

  • 2012年5月17日

トロムソの街歩きとアクティビティ
オーロラに加えてアピールしたい観光素材

北極圏の玄関口、トロムソの港の夜の風景。左手にはトロムソ橋、対岸にはトロムスダーレン教会の灯りがともる

 スカンジナビア北部の代表的な観光資源といえば、夏の沈まない太陽と秋冬のオーロラだろう。誰もが一度は観たいと願う大自然の風物詩であり、日本からも数多くのツアーが催行される。だが、どちらも天候に左右されやすく、旅行中一度も観れなかったというケースも少なくない。実はそれを補ってなお余りあるほどの魅力が現地にはある。オーロラ鑑賞の最終盤である春先にノルウェー北極圏のプレスツアーに参加し、現地の状況を視察した。まずは、拠点となるトロムソでの楽しみ方を伝える。


オーロラ観測に最適なトロムソ

メインストリートのストランドガータン通り沿いには、洒落たショップが建ち並ぶ

 ノルウェーの首都オスロから空路約1時間45分、北極圏の玄関口であるトロムソから旅はスタートした。人口約7万のトロムソは、トロムソイヤ島と本土のトロムスダーレン地区に別れ、両エリアは全長約1キロのトロムソ橋と海底トンネルで結ばれている。街の中心はトロムソイヤ島で、港に近いメインストリート周辺は「北欧のパリ」とも呼ばれるほど洒落た店が軒を連ねる。市街にあるトロムソ大学には海外からの留学生も多く、小さいながらも活気溢れる国際都市の趣きが感じられた。

トロムソのオーロラ研究の第一人者ブルントラム博士

 かつてトロムソは極地探検家のロアール・アムンセンが活動拠点とした街である。アムンセンは1911年に人類初の南極点到達という偉業を達成した人物で、港に建つポーラー博物館で彼の足跡を知ることができる。このアムンセンの極地探求の情熱は、現在のオーロラ研究に受け継がれているのかもしれない。郊外には欧州非干渉散乱(EISCAT)オーロラ観測所があり、各国の研究機関もここで観測を行なうなど世界的なオーロラ研究の拠点となっているのだ。

残雪のトロムソ港。北極圏の玄関口トロムソは港とメインストリートが近く、コンパクトにまとまっている

 なぜトロムソがそれほどオーロラ観察に適しているのだろうか。北極圏の中でも、北緯65度から70度のオーロラ帯と呼ばれる地域が最もオーロラの出現する頻度が高いが、北緯69度40分のトロムソはまさにその圏内にある。またメキシコ湾流の影響で気候が比較的穏やかで、最も寒い1月でも最低気温はマイナス6度前後と、ほぼ札幌並みというのも観測しやすい条件である。

 さらに旅行者にとってうれしいのは、オーロラ出現頻度の高い時間帯が午後8時から11時と生活時間帯内であること、インフラが整っているため快適にオーロラ鑑賞をすることができることである。運が良ければホテルの客室からもオーロラを鑑賞することができる。これらはトロムソに限らずスカンジナビアのオーロラ帯に共通したメリットだ。